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第31話
「そして、大事なクリスマス・イブ…ですね」
文維はそう言って、遠くを見る目をした。
お互いに誤解があり、行き違い、会えなくなった日々。そのせいで煜瑾は病に倒れ、やつれ、幽霊のようになり周囲を心配させた。
それを、親友の羽小敏や幼馴染の申玄紀の力を借りて2人は再会することで、誤解による苦悩を乗り越え、強い絆を確かめることが出来たのだ。
それが今日、クリスマス・イブの夜だった。
「今夜は、大事な文維のお誕生日でもあります」
2人は、それ以上何も言わずに見つめ合った。言葉と必要とせずに、何もかも分かり合えた気がした。
スカイレストランの窓からは、上海市内が見下ろせた。予定していた浦東の夜景とクリスマス用のイルミネーションには及ばない、ただの街の灯りだ。
けれど、文維も煜瑾もそれで十分だと思っていた。
この街で生まれ、育ち、出会い、愛し合うことが出来た。
この街があったから、今、2人はこうして幸せなのだと感じることができた。
「私は…、上海が好きです。以前は、どこの街も同じだと思っていましたが、今は、文維が居るから…。文維と2人で居られるから、この街が大好きです」
「そうですね」
返す言葉は少なかったが、文維も同じ気持ちだった。
「来年も…ここに来ましょうか」
ふっと文維が口にすると、煜瑾は何も言わずに文維を見つめて頷いた。
来年も、再来年も、その先もずっと…。
もしかすると場所は変わるかもしれないけれど、きっと2人はこれからもずっと一緒にクリスマス・イブを過ごすことになるだろう。
そんな確信を持って、包文維と唐煜瑾は、クリスマスイルミネーションに彩られ、いつも以上に明るい淮海路を眼下に見つめた。
MerryChristmas and HappyNewYear, and HappyBirthday.
〈おしまい〉
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