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第7話

*******  縁側からサンダルをつっかけ、勘治は庭に出た。いくつか朝顔はしぼんでいるが、明日咲こうとする蕾が、ピンと伸びている。  庭の片隅に、プレハブ製の物置がある。勘治の長身を隠すのに、もってこいだ。昔は父親に叱られるのが怖くて、物置の裏に隠れたことがあった。  勘治は物置の後ろに隠れた。湿気を帯びた熱帯夜の、ムッとした暑さが体を包む。  トランクスから、窮屈そうにしているペニスを出した。朝顔の蕾みたいにピンと張り、月に向かって大きく勃ち上がったペニスを、骨張った手で扱く。 (郁真…ずっと、子供だと思ってたのに)  夏祭りで、ふんどしの上から郁真の勃起したペニスを見た。その瞬間、郁真への気持ちが変わった。弟みたいな可愛いいとこ、そのはずだったのに。  昔は朝顔の蕾みたいなペニスだった。咲きかけの蕾に似て、先がふにゃふにゃした皮に覆われて。毛も生えてなかった。ふんどしを締めてあげるとき、黒い毛に覆われていたのを見たが、皮はもうむけているだろうか。  彼女はいるんだろうか――あの大きくなったペニスが女の膣に入り、女の名前を呼びながら腰を振るところを考えただけで、勘治の胸が苦しくなった。そんな幻に嫉妬した勘治は、腕の筋肉を盛り上がらせ、擦るスピードを上げる。  ふんどしからはみ出ないようにカットした陰毛は、先端が鋭いため手の皮膚の柔らかい部分をチクチクと刺す。胸までチクチクと痛い。その痛みは、七歳年下のいとこに恋をした苦しみだった。  郁真にキスしたい、郁真の勃起したペニスを生で見たい、口に含みたい。妄想を重ねるごとに、息がどんどん荒くなる。  一方で罪悪感もある。こんな自分を、郁真は軽蔑するのではないか。こんな気持ちを知られてしまうのが怖い。  子供のとき、父親に叱られるのが怖くて、この物置の裏に隠れた。  今は、郁真に醜い自分を見られてしまう怖さで、ここに隠れた。 (あのとき、郁真の方から聞こえた音は、やっぱりこれなのかなぁ)  ぬちっ、ぬちっ。同じ音を立て、やがて先端からは勢いよく、濃い精液が飛び出した。  地面に散った欲望の跡を、勘治はサンダルで土を蹴り、切ない思いとともに隠した。 ――――

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