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セーラー服と学園祭 2

教室に戻ってからは散々だった。 戻るなり女子に囲まれて化粧をさせられて。 髪もいじられてヅラを被せられた。 でもさすがというか、その一連の作業はあっという間に終わって、意外とあっさり終わったなと思ったんだけど。 「南が一番可愛い」 という女子の一言により、クラスのヤツらが群がり始めた。 みんな可愛いとか言ってくるけど、まだ自分の姿を確認してないオレからしたら本当かよって感じ。 柳にいたっては何故か連射で写真撮ってくる。 「待って柳、なに撮ってんの!?」 「いやー化けたね南ちゃん」 「柳も美人だから」 「南ちゃんは可愛いよ。ほら」 そう言って撮った写真を見せてくれた。 「……オレ可愛い」 「な?」 まず見たとき、これ本当にオレかって疑った。 もともと少し幼い顔つきはしてたとは思ってたけど、化粧すればいかにもふわっとした女の子ですっていう見た目。 ヅラも今の髪色に合わせたものを買ってきてくれたらしい。ゆるく巻かれたセミロングが、ふわっとした感じとよく合っている。 服から覗く腕とか脚はやっぱり隠せない男っぽさがあるけど、それでも他の男子に比べたらまだ見ることができる。 ほんと、自分で言うのもなんだけど。 「これは八雲さんの反応を早く見たい」 「や、でも…やっぱちょっと抵抗が…」 たしかにオレは可愛い。顔だけ見たらまず間違いなく男だってバレない自信はある。 八雲さんの反応はもちろん見たいけど、恥ずかしさのほうが勝ってる。 「ここまで来て何言ってるんだよ」 「恋人に女装見られたいって言う人いなくない?」 「いつもと違うコトができるかもしんねーじゃん?」 こっそりと耳打ちしてきた柳に、ボッと顔が赤くなるのがわかった。 「ち、違うことって」 「完全に女にされてこいよ」 それは、つまり、そういうことだろう。 ちょっと期待してないわけじゃないけど、だから恥ずかしさが勝つからムリ、きっとムリ。 「ま、冗談だけどさ。そういうのは帰ってからよろしくやれよ」 そんな柳の言葉はオレの頭に入ってくるはずもなくて、ヨコシマな考えでいっぱいになっちゃったのは言うまでもない。

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