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【番外編】ポッキーゲーム ―本田八雲の場合―
今日は11月11日。
世間はポッキーの日で盛り上がりを見せている。
以前までの俺なら「くだらない」と言ってたところだけど、今は違う。
まあ言わなくてもわかると思うけど…今の俺には南っていう可愛い恋人がいるわけで。
俺がポッキーゲームをしたいっていうよりかは、南の反応を楽しみたいっていう気持ちの方が大きい。
というより、楽しみたい。
たぶん南のことだから、俺が子どもっぽいって言って断られるって思ってるんだろうな。
そう思っただけで南のことが可愛くて仕方ない。
俺は昨日買っておいたポッキーをわざとらしくテーブルに置いて、南を部屋に招き入れた。
「あ…こ、んにちは」
ポッキーを見るなり、南はそわそわとしだして目が完全に泳いでる。
ここまであからさまに反応されると、ついいじめたくなってくる。
よそよそしくソファに座った南の隣に座って、気づかないフリをする。
俺とポッキーを交互にチラチラ見てるけど、全然気づきませんよの雰囲気を装う。
南も俺が気づかないフリをしていることに気づいてるけど、恥ずかしくてなかなか言い出せずにいる。
その様子が「エサちょうだい」って言ってる子犬に見えて可愛い。
素直になれない南に、ちょっと手助けしてあげようかな。
「どうかした?」
「うー…わかってるくせに…」
ぼそっと小声でごねて顔を逸らされる。
そんな仕草ひとつひとつが可愛くて、俺はまた今日も甘やかしてしまう。
「ほーら、そっち向いてたら一緒にポッキー食べれないだろ?」
俺は袋を開けて1本のポッキーを取り出す。
それを咥えて、南の方を向いた。
本当にしてくれると思ってなかったのか、目を丸くしてこっちを見る。
ほらほらって催促するように近寄ってポッキーを突き出せば、おずおずと口を開け始めた。
「んっ」
南は意を決したようにぱくりとポッキーを咥えた。
南の瞳には恥ずかしさからな涙が溜まっていて、正直ムラっとする。
咥えたままこちらの様子を伺ってるから、俺から半口ほど食べて進んだ。
びくっと身体を強張らせて引く南を逃がさないように、背中に手を回して抱き寄せる。
「んーっ…ふぅっ…」
全然言葉になってないけど、これはたぶんやっぱり恥ずかしいからやめようっていう抗議だと思う。
でも、やめてあげない。
目は開けたままで、しっかり南を捉えてゆっくり食べていく。
南の口は震え始めて、その振動がポッキーを伝って俺の唇に届く。
しかも、この様子だと南の陰茎はゆるく反応してると思う。
よくまあここまでえろい身体に育てたなと、自分で自分を褒めたい。
すぐ目の前に南がいるのに、ポッキー分の距離がもどかしく感じ始めて。
俺は残りのポッキーを1口で食べて、その勢いのまま南にキスをして床に押し倒す。
「んぅ!?」
舌を絡めとって、くちゅくちゅとやらしい音を響かせながらキスをして。
「ん…ふぁ……」
最初は抵抗してた南もすぐ蕩けた表情になって、俺のシャツを掴んできた。
しばらく濃厚なキスを堪能して、最後に下唇を吸いながら口を離す。
「すっごい甘い」
「~っ、ばか…」
顔を真っ赤にさせながら、南の腕が俺の首に回される。
これは南もすっかりその気になって、俺を求めてる証拠。
その期待に応えるべく、南の身体にゆっくり覆い被さった。
▽
11月11日:ポッキーの日
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