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深いため息を吐いた姫宮は、椅子から腰を上げ、床に両膝を着き、臀部を天井に向ける体勢を取り、溢さぬように手の中に受け止めていた白液を緩みきった後孔に入れた。 なるべく奥に、指の根元まで孔に入れて。 あとは滑りを良くするためにローションも念の為に仕込んでおこうと、姫宮は手探りで鏡前の台に手を伸ばした。 しかし、いくら探っても目当ての物がかすりともせず、ついに顔を上げたが、やはりなかった。 "部屋"に忘れてきたらしい。なんて愚かな。 自身の行いを酷く責めながらも、恐らく"部屋"にあるだろうと、そのまま"部屋"で準備を済ませようと思い立った姫宮は風呂場の扉を開いた。 扉を開けた先は心もとない脱衣場になっている。 と、そんな所に子どもが立っていた。 男の子らしいその子どもと目が合った時、飛び上がった。 「大河っ、なんでここに⋯⋯」 意識が現実へと引き戻された姫宮は、さりげなくタオルや扉で身体を隠しているとハッとした。 さっきしてしまった自慰行為が大河に聞こえただろうか。 そもそも大河はいつからいたのだろう。 小口がどうにかこうにか気を引いてくれていたから大丈夫だと油断してしまったのがいけなかった。 耳にまで聞こえる心音を聞きながら、ほぼ無意識にやってしまった、しなくてもいい吐き出したものが太ももに伝っていた。 「⋯⋯ま⋯⋯ぁ⋯⋯」『おふろ』 「さっきも言ったけど、大河と一緒にお風呂は入れないんだ」 『なんで』 「なんで、って⋯⋯」 その疑問が出てしまうのは当たり前だ。 他のことは聞き入れてくれるのに、何故かお風呂に入ることだけは拒むのだから。 おかしいと、こうやって押しかけて来るのも無理はない。 けれども、なんと言えば大河は納得してくれるのだろうか。

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