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第35話 王子様の夜の顔 ※

「ふみゅ」  という唇の触感に違和感を覚えたものの、眠いからまあいいか、なんて2度寝しようとしたら。 「おい。起きろ」 「へ?」  僕の上に、月に照らされ白く光り輝くシュカ王子の姿があった。 「ど、どうしたの?」 「軍議が早めに終わってな。明日も朝早くから軍議だというのに、身体がお前を欲している」  そう口にしながら、僕の鎖骨に唇を押し付けてくる。  むらむらしてるってこと?  こういうときは、僕から積極的に誘ったほうがいいのかな……? いつかはエッチして、妊娠・出産する未来が決まっているんだし……。  王子はちゅ、と僕の額や首筋にキスを落としてくる。僕の身体を組み敷くように囲われる。まるでどこにも逃げ場なんてないみたいにして。  そっと、僕も王子の身体を触ってみる。肩から腕の曲線をなぞり、そのまま手元を掴んで人差し指を口に含む。ちゅぷ、ちゅぷと音を立てて舐めてみた。王子はそんな僕を目を細めて見続ける。 「いたずらが好きなのか?」  ……いや、好きってわけじゃないけど。誘ったほうがいいのかな、なんて。こんなこと、言えるわけないけど。 「ああ、もう。変なことはしないでくれ」  王子は僕の身体を持ち上げ、ベッドの上で正座させる。そうして、僕の膝の上に王子が頭を乗せた。 「しばらくこうさせろ。変なことはするな」  王子は、すぅすぅと静かな呼吸をしながら目を閉じた。  ほんとに、襲ったりしてこないんだ……。  10分ほどそのままの姿勢でいたが、ついに僕の足が痺れてきた。 「シュカ王子、も……だめ、足が、痺れて……」  王子をベッドに下ろして、なんとか足の痺れに耐えていると、ツン、とふくらはぎを軽く王子に押された。 「ゃっ……いま、は、無理……」 「くく。足が痺れてるのか」  息も絶え絶えに伝えると、王子は初めて見せる笑顔で僕を見つめる。王子はツンツン攻撃をやめてくれない。 「ほんと、ダメだって……痺れてるからっ」  ふふ、と王子が笑う。口端を上げて面白そうに。 「たまらぬ。お前のそういうところが面白い」  それって褒められてるのかな……。  足の痺れが治まってから、僕はようやく大きく息を吸い込み、吐いた。 「朝まで共にいよう」 「あ……はい」  王子は僕の身体を、昨夜と同じく抱き枕にしてくる。  よしよし、と僕の頭を優しく撫でるだけ。 「お前、綺麗なつむじをしているな」 「ふぇ?」  王子はつむじにも軽く口付けた。  変わってるな……このα()  不意に、王子が僕のおしりを撫で回す。 「えっ」  無言で、むにむにと僕のおしりを揉んでくる。  ど、どうしちゃったんだろう。  おそるおそる見上げれば、欲情に満ちた眼差しの王子と目が合った。

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