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第37話 ※

 ごくん、と王子が僕の出したものを全て飲み込んでしまった。 「ダメだよっ」  思わず、叱る口調になってしまう。すると王子はばつが悪そうに頭をかいた。 「ダメと言われても、お前は俺のものなんだから好きにしてもいいだろうが」  「俺のもの」という言葉が、今は胸に刺さる。  ううん。違う、僕はシュカ王子のものじゃない。ジスのものなんだから……。 「寝るぞ」 「ぅわっ」  僕は裸のまま、王子の腕の中に囚われる。その温もりが心地よくて、気づけばうとうととしてしまう。  王子はすぐに寝てしまった様子だ。  どうしてこんなに、大切に扱ってくれるのだろう。僕のことをすぐには抱かないし……。たまに今日みたく意地悪はされるけど。  目を閉じる。瞼の裏には愛する魔王のジスが浮かぶ。 ーー大丈夫。僕は王子のお世継ぎを産んで、ジスのもとへ連れていく。それが僕の使命なのだから。

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