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第42話 チュロッキー王国での発情期※ 運命の番の印
「いい匂いがする……この部屋からだ」
「迷い込んだオメガが発情してやがる。どう喰ってやろうか」
うさぎの獣人と猫の獣人が僕のことを目で捉えると、僕の身体を捕獲してすぐにベッドに押し倒す。
どうしよう。獣人のアルファに襲われる……! シュカ王子。助けて……!
「おお。これはフォリーヌ王国の従者ではないか。そちらの国ではオメガでも従者になれるのか。なんと手厚い王だ」
うさぎの獣人がぺろりと僕の頬を舐める。
「甘い汗を流しているな」
そう言うと、僕の衣服を脱がし始めた。
「やめてっ……」
「くくく。人間のオメガの力のなんと弱きことか」
猫の獣人は僕の腹を撫でながら、ぼくの蕾に自身のものをあてがう。
ダメだ……犯される。
ぎゅっと目をつぶったときに浮かんだのはジス、それとシュカ王子の姿。
どんっ、と鈍い音が猫の獣人の後ろから聞こえた。
「うがっ!?」
猫の獣人は後頭部を殴打されたらしく、床にのびている。うさぎの獣人は身の危険を察知したのか、猫の獣人を背負って部屋から逃げ出した。
ガチャ、と部屋の鍵をかける音が聞こえる。
「お前というやつは……」
聞き慣れた、呆れた声に身体はすぐに反応してしまう。
「シュカ王子……」
「わかっている。今は何も言うな」
涙目で王子を見つめていたら、その唇を塞がれてしまう。短く息を切らして、僕は口付けに応じる。
ああ、安心する。この温もり、声、手つき。
僕のものは、まだ触れてもいないのに上を向いている。透明な涎を垂らして、触れられるのを今か今かと待ち望んでいるように見える。
王子は僕の首筋を甘く噛む。
「ああ。俺の運命の番……今すぐ項に噛み跡を付けたい」
運命の番のアルファがオメガの項に噛み跡を付けると、運命の番として永久的に結ばれる目印になる。しかし、1度目印を付けるとアルファもオメガも一生離れられなくなる。
「王子……」
僕は熱にうなされてぼやぼやする頭の中で考える。王子の世継ぎを産むためには、運命の番の目印を付けてもらわないといけない。
ジスの顔が頭に浮かんだ。
いや、いいんだ。ジスのために、僕は王子に目印を付けてもらう。王子の世継ぎを産むために。
「あっ……噛んで、ください。僕の項……シュカ王子は僕の運命の番だから……」
回らない舌でなんとか言葉を吐き出す。王子は少し目を見張ったが、すぐに元の大きさに戻り僕の唇に接吻を落とした。
「ああ。阿月。なんてかわいいことを言うんだ」
シュカ王子が僕の蕾の入口をぐりぐりと押す。はちきれそうになっている王子のものが、ゆっくりと僕の胎内に入っていく。あまりの快感に嬌声を上げていると、その口内に指を突っ込まれた。
「噛むぞ」
「はい……っ」
がぶ、と項に噛みつかれる。ぎりぎりと、肉を挟む音。しかし、今は発情期で意識がはっきりしておらず、痛みを感じない。
「これでお前は俺のオメガだ」
目印を付けたシュカ王子の表情は、いくらか柔らかい。
珍しいな。王子がこんなに穏やかな表情を浮かべているのは……。
「っあ……ぁあっ」
僕は王子の腕の中で揺さぶられる。がくがくと、止まらない痙攣。王子のものが僕の胎内の弱い所をぐりぐりと攻め立てるのだ。何度、白蜜を噴き出したかわからない。僕の腹や胸は白く濡れている。
王子もそろそろ限界に近いらしい。最奥をぐっと押してから、一気に自身を抜き去った。
「っ」
びゅっ、びゅ、と王子のものが僕の頬を濡らす。この、白くて熱くて、少し苦いもの……。
「1度やってみたかった……許せ」
顔に出されたんだ。僕……。
王子のものの匂いで頭がいっぱいになり、僕の身体は脱力してベッドに倒れた。
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