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1-9【※】
「ユーグ。もしかして――イった?」
ルーが腰をゆるゆると動かしながら問いかけてくる。
首を縦に振った俺を見下ろすルーが、意地悪そうに笑う。
「そっか。そりゃあ、こんなにナカがうねっているはずだな」
「ぁっ、うぅあ!」
達したばかりの身体に容赦なく快楽を叩き込まれていく。
粘膜がうねって、ルーのモノを締め付けている。自分でもよくわかる。
(ルーの形も、大きさも、全部わかるぅ――!)
曲げられている脚がぴくぴくと動く。俺の陰茎は最奥を突かれている間にまた勃ち上がっていて、腹につきそうなほどに反り返っていた。
「ユーグ、ナカめちゃくちゃ気持ちいい――!」
「そ、それ、それだめぇ!」
最奥をぐりぐりと刺激され、ほぼ真上から串刺しにされてしまう。
頭がくらくらとして、馬鹿になったみたいになにも考えられなくなる。
「んぁ、ルー、だめ、だめだってぇ!」
耳に水音が届く。まるで耳まで犯されているみたいだった。
「っはぁ、すっかりナカでも感じられるようになって」
ルーが息を漏らしながら、つぶやく。
それは俺のせいじゃない。ルーのせいだ!
「ルーのせいだ! こんなに、感じるようになったのは!」
だって、後孔を犯されて気持ちいいと思うようになったのは、ルーに出逢ったからだ。
俺のせいじゃない。ルーのせい。
(だけど、責任を取れなんていえない)
喉元まで出かかった「責任を取ってほしい」という言葉を呑み込む。これを言ったら、俺たちの関係は跡形もなく崩れてしまう。
気楽なセフレという関係じゃいられなくなる。それだけならばいい。鬱陶しいと吐き捨てられ、もう関係をやめようと言われてしまうのが一番恐ろしい。
(俺は、ぬくもりが欲しいんだ)
抱かれている間は、ぬくもりに浸ることが出来る。ルーの頭が俺のことでいっぱいになる。この瞬間が、とても好きだ。
「ユーグ、一回出しても、いいか?」
「いい、よ」
だから、俺はルーにめちゃくちゃに愛されて、汚れていくのが好きだ。外には出してほしくない。どれだけ翌日が辛くても、俺はルーのものがナカに欲しい。
ルーがいつものように熱杭を俺から引き抜こうとするから、阻むようにやつの腰に脚を回した。
「いつも言ってるがっ!」
「男は、ナカに出すのが好きだろ?」
出来る限りの強がった笑みを浮かべると、俺の中に埋まる肉棒がぐっと大きくなったような気がした。
自ら腰を動かし、ルーの吐精を促す。
「ぁ、ユーグっ! 出るっ――!」
ルーがうめくとほぼ同時に、俺の身体の奥に熱い飛沫がほとばしった。あぁ、出てる。
「ルーの、熱い……」
頭の中がふわふわとしていて、現実味がない。
無意識につぶやいた俺に対し、ルーは前髪を掻き上げてやれやれという表情を浮かべた。おまけに俺の唇にキスを落とす。
「お前は本当にわがままだな」
「呆れた?」
「いや、全然」
雨のように降ってくる口づけ。互いに舌先をこすり合わせ、唾液を交換する。
「ふふっ、ルーのすっごく大きくなってきた」
未だに俺のナカに埋まるルーの屹立が硬さを取り戻していく。それは幸せを俺に与えてくる。
ルーの首に腕を回し、頭を引き寄せた。
「ルー、もっと乱してよ」
自ら口づけると、ルーがまた腰を動かし始める。
今度は初めから激しい動き。肉同士がぶつかり合うようなぱんぱんという生々しい音と、大きな水音。先ほどよりも水音が大きいのは、ルーが出した欲望のせいだろうか。
「ふぁあっ、るー、るー!」
舌ったらずになりつつも、ルーのことを呼ぶ。
セックスの際中だけは俺は自分を好きになることが出来る。
誰かに強く求められているというのが、好きなのだ。
こうしてこの日も俺たちは途方もなく互いを貪り合った。
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