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 キリアンの言葉はまっすぐで、僕は顔にカーっと熱が溜まるのを実感してしまう。 「き、キリアン――」 「俺はもう、ジェリーなしじゃ生きていけない」  僕の腕をひとまとめにするキリアンの手に、力がこもった。  ――僕は、どうしたいんだろうか。 (キリアンとそういうこと――えっち、したいの?)  けど、でも――。  悩む僕をよそに、キリアンが唇を重ねてくる。  音を立ててキスをされたかと思うと、その唇が徐々に下へと向かっていく。  僕の首筋に口づけて、少しだけ見える鎖骨の辺りに噛みつかれたのがわかった。 「なぁ、ジェリー」  僕を呼ぶキリアンの声が、切なげだった。  まるで捨てられた子供のような声に、胸がぎゅうっと締め付けられる。  一度だけ、たった一度だけなら――いいんじゃないか。  頭の中で誰かがそうささやいた。 (そうだよ。僕が今後誰かと性交渉をするなんて、ないんだから――)  だったら、ここでキリアンに身体を委ねたら、一生の思い出として残るんじゃないだろうか。  そう思って、僕はキリアンの唇が重なったときに自ら舌を差し出した。 「んっ、ふぅっ」  口づけはどんどん深くなった。  どちらともなく舌を絡め合う。僕の身体もどんどん熱くなっていく。  いつの間にか腕は解放されていたけど、僕は動かす気にもならなかった。 「――キリアン」  唇が離れて、キリアンのことを呼ぶ。彼が息を呑んだ。 「あの、ね」 「――あぁ」 「優しくしてしてくれるなら、僕のことを抱いてもいいよ……」  今にも震えそうな声で言うと、キリアンが目を見開く。  けど、すぐに「あぁ」と言った。 「絶対に優しくする。ジェリーを傷つけたりはしない」  誓いのような言葉。真剣な声音でキリアンが宣言した。  静かに頷いて、僕は自らのシャツに手をかけた。  ローブは寝苦しいからとすでに脱いでいる。もちろん、キリアンも上着は着ていない。  なんだか、お互い薄着でいるのを実感して今更恥ずかしいなって。 (昨夜もそうだったんだけど)  なのに、やっぱりなにかが違うような気がする――。  なんて考える僕の手にキリアンの手が重なった。彼を見つめると、彼が首を横に振る。 「俺が脱がせる」  キリアンがはっきりと言う。 「だ、だけどね」 「こういうのは俺がしたい」  そこまで言われちゃうと、断ることも出来ない。  僕がシャツのボタンから手を離すと、代わりとばかりにキリアンの手がボタンに触れた。  キリアンの太い指が僕のシャツのボタンを外していく。一つずつ外されるたびに、僕の鼓動が早くなる。 「こんなところでヤるなんて、ムードがないからな。せめてほかくらいは」  キリアンが僕のシャツの前をはだけさせる。男性にしては薄い胸をキリアンがじっと見つめる。 「可愛いな」  大きな手のひらが僕の胸に触れて、撫でまわすように動いた。  気持ちいいはずがない――のに。どうしてだろうか、身体が熱くなる。 「ぁ、あっ、き、りあん――」  撫でられた箇所が熱い。下肢に熱がどんどんたまっていく。  自分の身体の反応に戸惑っていると、キリアンが胸の突起に触れた。普段は飾りにしかならない突起に触れられると、僕の身体がびくんと跳ねる。 「ここ、気持ちいいか?」  僕の目を見たキリアンが問いかけてきた。  恥ずかしくて、視線を逸らしたいのに――僕は視線を逸らせない。キリアンの目に魅入られてしまったみたいだ。 「うぁっ」  少しぷっくりとし始めた乳首を爪でつつかれて、声が漏れた。  洞窟の外ではしとしとと雨が降っている。そんな中で情交に及ぶ僕たちは、この森の中で最も浮いている存在だろう。 (でも、なんでもいい。――愛して、僕を欲して)  キリアンの目が僕を欲してくれている。  たったそれだけで、嬉しくて、満たされていく。僕の胸の中に喜びの感情がじわぁっと広がっていく。

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