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16話(2)#突然のお泊まり?!オスの顔をし始める貴方に攻められ?!今度は私が?!
ーーライトアップ
紫陽花は昼間とは違う顔を見せる。暗闇の中、吊らされた豆電球に照らされ光る紫陽花はとても幻想的だ。如月を見ると、紫陽花に見惚れている。
「夜も良いね」
「ですねぇ」
少しはデートらしく過ごせただろうか。手を繋いだまま、歩く。もう、紫陽花も大方見て、飽きてきた。
「この後……どうする?」
本音はいちゃいちゃしたい。でもそればっかりって思われたくないから、何も言わない。
「ん~~? どうしたいの?」
なにそれ、なんでそんなこと言うの。
「や、やっぱり……この後は……ご、ご飯行かなきゃね!!」
「……いいですけど」
見透かされたような気がして、思ってることと違うことを言う。
「あ、せっかく温泉街に居るんだから宿で食べていきます?」
「うん、そうだね!! ついでに泊まっちゃう?!」
「空いてたらね」
こ、これはお泊まりデートの流れ!! 是非とも如月とお泊まりしたい!!!
空室を願うばかりだ。
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なんか色々乗せられている気がする。自分のペースを乱されている。こんな状態でお泊まりは少しこわい。ノッてる時の睦月さんと2人きりとか、自分の身を守れる気がしない。
フロントで空室確認。
なんでこんな時に空室。満室にしとけよ!! 約束してしまったので、渋々、部屋を取る。嘘つきとは言われたくない。
大浴場で入浴を済ませ、部屋での食事。温泉では睦月さんとは一言も話さなかった。なんだか気まずい。この後のことが気になって、食事がうまく喉を通らない。
美味しさもよくわからない。
「料理は微妙だね~~」
「そ、そうですねぇ」
慰安旅行の時とは違う。そもそも、あの時は勝手に寝込みを襲われたようなもの。その後、朝だちした睦月にまた襲われ、ムードも何もないよね。
ラブホテルへ行った時とも違う。あれは、なんていうか。怒りの感情から入ってしまった部分もある。今の状況とは全く違う。
デートからのお泊まり。初めてのパターン。心の準備が出来ていない。如月弥生37歳。意外と初心 で困る。
正直、手を繋いで歩いたことも、ベンチでキスしたことも恥ずかしくて、恥ずかしくて、恥ずかしくて、恥ずかしくて。うぶか!
恋愛慣れはしているはずなのに……。
お泊まりとか……お泊まりとか……!! 宿へご飯を誘ったのは私だけど、お泊まりの予定 はなかった!
なんでこうなるの!! ドキドキしすぎて心臓が壊れる! ぁああぁああ!!!
「……ご、ご馳走様でした」
「ご馳走様でしたぁ~~」
睦月が布団の上に寝転がった。浴衣姿……再び。
んーー。浴衣ってやっぱり良いよね。そそられる。
浴衣姿の睦月を見つめる。
「…………」
「…………」何この間!! 喋ってよ!!
「あ……えっと……疲れたし、早めに寝ます?」
なんだか気恥ずかしくて、布団の上で体育座りをする。
「それは、そういう意味?」え?
「いや……え? まっーー」
押し倒された。何故そうなる。
「違……今日はその……」
心臓がうるさい。異常にドキドキしている。枕を手に取り、熱い顔を隠す。
「なんで隠すの? 今日の如月、すごく可愛いのに」
枕を取り上げられる。欲情が渦巻く瞳をした睦月と目が合う。このままでは相手のペースだ。
でも受けはイヤ。
なのに、オスの顔をして、こちらを見つめる睦月の雰囲気に飲まれ、思うように心と体が動かない。どうしよう。
「……受けはやだ……」
「いやぁ、受けやりますみたい顔しといて、それ言う?」
かけ衿の隙間から手が入ってくる。前から気になっていた睦月の荒さは少しずつなくなっている気がする。
ちゅ。
「ーーっ……あっ……」
掛け衿が広げられ、胸元に口付けされる。衿から入ってきた手は胸の突起に到達する。目をぎゅっと瞑る。
「今日可愛すぎでしょ。どうしたの」
「……あっ……ん……っ」
親指と人差し指でつまむように弄られながら、定期的に舌で舐められる。刺激で瞑ってた目が少し開く。
「ーーっんぁっ!!」
急に指挿れるな、ばか!
「あっ……んっ……ぁ……あ……あぁっ…はぁ…っ」
そんな奥に指を挿れないで。体の中が、下半身を中心に熱を帯びてくる。感じている姿を見られているのが恥ずかしくて、頬が赤く染まる。
「俺、もっと喘いでる姿、見たいんだけど」
指先が激しく動き始める。
「ぁあっあっ……もう……あ……勘弁…あっ……して…っん…はぁ…はぁ…あっ」
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。漏れ出てしまう自分の喘ぎ声、睦月によって開かれる脚。淫らな格好。気持ち良さで半開きになる目。口が閉まらず、声ばかり出て、口内が乾く。
攻められて感じる、とろけてしまいそうな気持ち良さ。指の動きに合わせて肩が震える。
ーークセになりそう。
いや、それはダメだ。受けはあり得ない。前回もなんだかんだ受け入れている。これ以上、寛容になってはいけない!!!! 目を閉じ、ゆっくり深呼吸をする。
目に力を入れ、しっかり見開き、睦月を見る。
「え?」
「んーー?」
睦月の顎を掴み、引き寄せ、唇を重ねる。下唇を甘噛みし、唇を離す。
「楽しい時間をありがとう、睦月さん」
甘い快楽から目が覚めてくる。
「あれ? ちょっと待って、急にどうしたの?」
睦月に焦りの色が見える。
「少しどうかしてたみたいです。あーーよくない、よくない」
睦月の浴衣の帯を引っ張る。
「えっ? えっ? えっ?」
はだけた浴衣を見て、少しずつエンジンがかかる。
「すぐにでも挿れたい気分だけど、慣らさないと気持ち良くないもんねぇ」
「ーーは?」
睦月は状況が理解出来てないようだ。ふ。いいね。腕を伸ばし、覆い被さっている睦月を抱き寄せた。
「バックが良いなぁ~~」
にっこり睦月に笑いかけ、前を向かせる。
「え? ちょっ、え? あれ? もしかして攻め変わってる?」
ぷ。楽しくなってきた。
「変わってないですよ~~」
後ろから少しずつ指を入れる。
「~~っんあっ!! 待って待って!! おかしくない? なんでこうなるの?」
「うるさいですよ、睦月さん」
奥までゆっくり指を沈み込ませ、動かす。
「あぁっちょっあっ…んっ…あぁっやっ」
後ろから顔を覗き込む。頬を赤らめ、もう肩をビクッとさせている。かわいい。前も触っちゃおう。
「ぁあっきさっあっまって…んっ…今日おれ 長くもたな…あっ…はぁ」
あれ? いつもより目が潤むの早い気が……。
「えーー?」
手を動かしつつ首筋を舐め、キスを繰り返す。
「~~っ…ぁあっ早く挿れっあっ…はぁ…イッちゃあっ…んっ…やめっあっ…はぁん…ほんとっ…やあっ…今日はっあぁっごめっ はぁあっ」
手に温かいものが広がった。
「は? えっ!! 睦月さん?! うそ!! 早くないですか!!」
まだ挿れてない……!
「……早いはやめて……」
睦月は布団の上でうずくまっている。攻めに回っていたからかなぁ。
「ぁああぁああぁあ!! 最悪!!! ごめん!!!」
睦月は土下座をした。
「いや、良いけど……消化不良……」
未だ収まらない下半身。
「……い、挿れる?」
顔を真っ赤にして、私に訊く睦月に下腹が熱くなる。
「いいの? まぁ、睦月さんのミスなんだから、睦月さんが自分で挿れてくれる?」
鞄からゴムを取り出し、自身に付ける。
「なんでいつも持ってるの……」
「身だしなみです~~あ、自分で動いてね」
「~~んっ…んんっ…んっ…んっ…はぁ」
私に跨り、頑張って挿れている。微笑ましく見守る。
「あっ…はぁ……あっ…んっ…んはぁ…あっ」
気持ち良いとしっかり表情に出て、それを見ることができるのが良い。
頬を赤く染め、汗をかきながら、一生懸命動く姿に性欲が掻き立てられる。可愛いよ、睦月さん。浴衣、脱いでほしいなぁ。そっと、手を伸ばし、肩から浴衣をおろす。
「あっ…んっ…はぁ…ぁあっやば……あっ奥当たっ気持ちい……はぁ…あっ…んっ」
自分の気持ち良いところ見つけたかな? 可愛いなぁ。睦月の体の震えが頻繁になってきた。
「…はぁ…睦月さん…ぁっ…置いていかないでよ?」
体をくねらせ、感じながら、動いている姿が可愛い。でも先に睦月さんがイッてしまいそうだ。
「う、うん…はぁ…あっ…んっ如月…あっ…んっ…おれ…だめかも…あっ…きもちぃ…はっあっ……あぁ……はぁ……っ」
目は少しうつろ。焦点のあわない瞳に涙を浮かべた。睦月はビクビクしながら上を向き、震え、動かなくなる。イッちゃったかな。体を起こし、そっと抱きしめる。
目の前で起きた、優美なる昇天。思わず、息を飲む。心臓が大きく波打つ。
「……ずるいよ、睦月さん。自分だけ」
「……え?」
「若いから、大丈夫だよね?」
「ーーはい? っんあっ!!! き、如月?!」
睦月のお尻を両手で掴み、思いっきり、奥まで挿れる。
ごめんねぇ。でもさぁ、流石にずるいでしょ。私だって最後までイキたいよ。だから、もう少しだけ、付き合って、私を溺れさせてね。睦月さん。
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*
し、しんだ……。
体力に自信がある俺でも流石に動けない……。如月ひどい……。ばか。
布団の上で仰向けになったまま、横目で如月を見つめる。スッキリした顔でパンフレットを見ている。
「睦月さん、まだ動けます?」
動けるか。ばか。
「動けるように見える?」
「……そうですね」
「なに?」
「……ホタルが見れるらしくて。あんまりデートらしいことも出来なかったので……その……今から2人で……」
歯切れが悪く、指先を触ってもじもじしている。
「デートに誘ってくれてるの?」
「……ま、まぁ。そんなところです」
寝返りを打ち、うつ伏せになり、はにかみながら、もじもじしている如月の指先を触る。
「じゃあいっこかなぁ~~?」
「あの、あともうひとつお願いが……」
如月が目線を合わせようとしない。なにかな?
「なに?」
「……その……えっと……き……」
「き?」
「……長いキスしたい……」
ふ。耳まで赤くして何言ってるの。
「いまぁ? どうせならホタル見ながらしようよ」
身体を起こし、如月の頬に手を添えた。
「えーー……んっ」
唇を重ねる。舌を差し込み、動かし絡める。普段、あまり自分の思ってることを言わない如月からのおねだりは愛を実感できて嬉しい。
「ーーはぁっ……」
「はい、続きはホタル見ながらね?」
ちゅ。
照れてる顔が愛しくて、もう一度、軽いキスをする。
「え? もういいですって~~」
着替えを手に取り、ホタルを見に行く準備を始めた。
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