107 / 141

25話 共同作業はコミュニケーションが取りやすい! ひまわりみたいなあなたが好き?!

 ーー翌日    久しぶりの2人でデート!! 嬉しい!! ひまわり畑でもどこでも行く行く!! あ~~嬉しい。如月準備まだかなぁ~~っ。  如月の実家だけど、これだけ家事をこなせば、もはや俺の実家みたいもの。リビングに居ても普通にくつろげる。緊張感はない。 「睦月さんお待たせしました~~」リビングに如月が来た。いつもと同じテーパードスタイルなのに時間かかり過ぎ。 「遅~~い!! めっちゃ待った!!」頬を膨らませ、如月を見つめる。 「寝癖が直らなくてシャワー浴びちゃいました。ごめんね?」膨らませた頬を親指と人差し指で押され、潰される。 「はい、これで怒ってない~~ふふ」 「そーいう問題違うし」如月の手を握り、玄関へ向かう。 「今日は車借りましたぁ」如月が車の鍵を嬉しそうに見せてきた。 「ぉお~~!! 俺運転するね」車の鍵を受け取り、如月と玄関を出た。 「農園だからどれくらいすごいか分かんないけど……」車の運転をしながら助手席に座る如月へ話しかける。なんというか、このシチュエーションは初めて。どきどき。 「ふぁあ……咲いていれば大丈夫です」如月は口元に手を当て、欠伸をした。 「寝不足? 寝てもいいよ?」運転しながら、横目で如月を見る。 「誰のせいで連日寝不足だと思ってるんですかぁ~~起きてますよ。ドライブデート楽しみたいですし。あ、なんか食べます?」如月はコンビニの袋から飴を取り出した。 「ぇえ? 俺ぇ? だってベッド狭いし、寝ながらハグされるとシたくなっちゃうんだもん!! 飴ちょーだい」如月から飴を受け取り口の中へ入れる。  飴甘……。飴の…口移しとか……されてみたいっっ!! 如月の口内で食べてたものが移されて……甘さの共有? 想像するだけでえっちぃ~~。はぁっ(妄想中) 「睦月さん、今変なこと考えてません?」 「へっ? いやっ別にっ……なんもっ……」運転に集中しているフリをする。 「そうですか?」怪しんでいる。 「俺がいつもえっちなこと考えてるみたいな言い方やめてくれない?」横目で如月を見る。 「そうでしょ!!!」如月はペットボトルの蓋を開け、カフェオレを飲んだ。そして、唇の端についたカフェオレを舌でぺろっと舐めた。  はぁあっ。えっち!! 舌で……舌でっ!! カカカカフェオレをわざとこぼして身体中、舌で愛撫されたいっ。 「睦月さん、絶対今変なこと考えますよね!! 顔から『えっちだぁ~~』が滲み出てます!! こんなところでやめて!!」 「考えてない考えてない~~はぁ…」少しだけ下半身が疼く。運転に集中集中。 「じゃあなんで頬が赤くなってるんですか!!」肩が如月に揺すられる。 「あっやめ~~今運転中!! それはそのアレですよ。アレな訳でアレだな」 「アレって何!!!」揺すられながら運転を続ける。 「あと30分で着く~~」 「誤魔化さないで!!!」しつこ。 「あ、車の中でえっちもいいね」如月の方をみて笑顔で伝える。 「は?」如月の目が白く濁った。 「………………」 「………………」黙っちゃった!! 「あ、いや、冗談ですから……すみません……」半分本気だったけど。 「………………」なんで濁った目のまま何も言わないの!!! 「ごめんごめん!! 引かないで!! ほんと冗談だから!!! マジで!!」車をコンビニへ停める。 「……なんで車停めたんですか?」訝しげにみてくる。 「え?」 「ま、まさか今から車の中でシよう的な?!?!」如月は両手で自分を抱きしめた。 「いや、違っ!! 少し休憩しようかと思って!!」如月に触れようと手を伸ばす。 「きゅ、休憩?!?! そ、その今からはちょっとまだ……えっと気持ち的に盛り上がらないっていうか……っ」  え? 待って、何言ってるの? 如月の目線が自分背後にいっているのに気づき、後ろを振り返る。ラブホテルの看板。 「違う違う違う違う!!! 運転が疲れたから休もうと思っただけだから!!!」如月の頭を優しく撫でる。 「う?」じぃ。ちょっと上目遣い。かわいい。 「……如月もなかなかの脳内えっち思考だよね」髪の毛に指を通し、触る。 「違いますけど。一緒にしないでください」如月はシートベルトを外し、背伸びをした。指から髪の毛がすり抜けた。 「コンビニ行く? それとも車の中でいちゃいちゃする?」シートベルトを外し、如月に訊く。 「コンビニ行く!!!」バン! 如月は助手席から降り、勢いよく車のドアを閉めた。如月がコンビニへ向かい、ずんずん歩いている。少し頬、赤かったなぁ。 「かーわい」車から降り、如月の背中を追った。  ーーコンビニ 「何買うの?」アイスの冷凍庫の前でじぃっと見つめる如月の背後から声をかける。 「アイス食べようかなぁって」 「俺も買おうかな~~」如月の肩に顎を乗せ、冷凍庫を覗き込む。 「ソフトクリームにしない?」如月に訊く。 「美味しそう」  レジで注文し、出来上がったソフトクリームを受け取り、車へ戻る。なんとなく、ひとつしか買わなかった。如月がソフトクリームを食べる姿を見つめる。  下から上へ、溶けないように舌で掬って食べている。はぁ~~っ。その舌先具合、ため息が出るくらいえっち。俺のも根本から上に向かって舐めっ……。はぁはぁ。 「睦月さんも食べーーちょっと!! どういうことですか?!?!」デニムの上から前を鷲掴みにされる。 「やめてーーーー!!!! マジで!!!(出ちゃうから)」 「なんでおっきく?!?! もう何考えてるんですか!!!」にぎにぎ。あっ……。 「それはその、アレだ。如月がアレをあ~~して、アレしてアレだ」如月に強制的にシートベルトを着けて動けなくする。 「ちょっと!! やめて!! 勝手にシートベルトつけないで!! あとアレってなんですか!!!」自分もシートベルトを着ける。 「言ったらシてくれるの?」如月を見つめる。 「え? うん?」よく分かってなさそう。 「うんって言った!! 如月のおくちで俺のを……今日楽しみ~~」笑みが止まらない。如月がソフトクリームを食べ終わるのを確認し、車を発進させる。 「え? はぁあぁぁああぁああ?!?! 絶対いやぁあぁあぁあぁ!!! 無理!!! 無理!!! しない!!! 出来ない!!!」如月は両手で顔を押さえた。 「ひどくない? 俺は如月に何度もしてるのに?」 「うっ……」断れないだろう。 「楽しみにしてるね、如月~~」  運転しながらチラッと如月を見る。頬が赤く染まっており、自分とのことを想像しているのかと思うと少し愛おしくなった。  ーーーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー  * 「着いたぁ~~!!」  睦月さんがすごく嬉しそう。車から降り、楽しそうに歩いている睦月を見つめる。嬉しいのはデートだからなのか、それともその後のお楽しみのせいなのか。  どっちもかな。 「如月! ん!」なんの躊躇いもなく手を差し出してくる。私自身も、人前で手を繋ぐことに殆ど抵抗はなくなった。吹っ切れてしまったに近い。  だって、繋いだ方が幸せも感じるし、睦月さんも喜んでくれるから。差し出された手に手を乗せ、ゆっくり指を差し込む。手から伝わる愛情に口元が緩んだ。  しばらく歩くと、広大なひまわり畑が目の前に広がった。元気いっぱいに咲いた満開の景色は睦月さんにぴったり。花畑の真ん中が歩けるようになっている。 「睦月さん、中行きましょ~~」 「うん! みて如月! ひまわり、手のひらほど大きさある!」屈託のない笑顔で見せてくる。かわいい。 「ほんとですね~~」  両側に広がるひまわり畑。そっと睦月の手を離し、奥へ進む。ひまわりと背丈を比べる睦月を見て、微笑ましくなり、スマホを構える。  カシャ  また一枚、スマホに睦月さんの写真が増える。 「あっ、如月~~!! もうそんなところに!! 待ってよ~~」  居なくなっている私に気づいて、駆け寄ってくる。  かわいいよぉ~~。思わず両腕を広げると、当たり前のように腕の中へ来てくれた。  ぎゅううぅ~~  可愛くて強めに抱きしめる。あつっ。体温たかっ。甘い匂い……。はぁ。じぃ。上目遣いでみてるっ。ぐはっ。ごそごそぎゅ。背中に腕がっ。かわいいかわいいかわいいかわいい!!(悶)離さない!! 誰にも絶対あげないぃ~~。 「幸せだぁ~~!!」あぁっ。  私も幸せっ。睦月の頭を撫でる。なでなでなでなでなでなでなでなで。ぎゅぅうぅ~~。 「如月? ちょっと苦しいです…あははっ」  幸せそうに笑っている姿を見ると、抱きしめている腕を離しがたい。でもそろそろお昼時。それにずっとここで抱きしめ合っている訳にもいかない。そっと腕を緩め、離す。 「お昼食べに行きましょうか」 「うん。あっ、さっき見たんだけど、1人1本ひまわり持ち帰れるんだって~~持って帰らない?」睦月に手を引かれ、歩き出す。 「どのひまわりにします?」手を繋いで歩きながらひまわりを見ていく。 「おっきいやつ!!!」 「ぇえ~~大きさで選ぶんですかぁ」ひまわり畑の入り口に戻り、ハサミを借りた。  2人でひとつひとつひまわりをみて、吟味していく。背が高く、睦月の顔ぐらいの大きさのひまわりを見つけ「これ」と、指す。 「一緒に切る~~?」睦月が訊く。 「ぇえ~~?」  ひまわりの側に寄ると、後ろから睦月が密着し、腰に睦月の手が回った。ハサミを持つ手の上から、睦月の手が添えられる。ひまわりを支えながら、一緒に切った。 「はい、どうぞ」切ったひまわりに軽く口付けし、睦月へ渡す。 「え? なんで俺に?」 「一本のひまわりの花言葉、一目惚れです。ふふ。だって、私の一目惚れですから。あははっ」  如月は照れくさそうに目を細め、声に出して笑った。 「…………そんなの俺だって同じかもしれないのに」恥ずかしそうにしながら、伏し目がちに俯く睦月をみて、愛しくなり、軽く頬にキスをする。 「なんかぁ~~ケーキ入刀みたいでしたね」 「共同作業だったからね! 次は、俺に入刀してみる?」睦月は如月を見つめた。 「ふふ。入刀しちゃおうかなぁ~~入刀後は食べさせ合わなきゃね」 「どういう意味?」 「ぇえ~~?」  本当はわかってるくせに。私を見つめる目がいやらしい薄目になってますよ、睦月さん。  太陽が照りつける真夏の空の下。ひまわりの回廊。暑さで汗ばむ手を繋ぎ、再び歩き始めた。

ともだちにシェアしよう!