128 / 141

28話(3)# 甘えんぼの求めたがりめ?!でも可愛いから全て許す?!

「量が多いから、火は消さずにこのまま餃子を乗せちゃおうかな」  包んだ餃子を円を描くように並べていく。思ったより作りすぎた。フライパンに収まるギリギリの量だ。餃子同士を隙間なく詰め、作った全ての餃子をフライパンに乗せた。 「焼きまぁす!!!」餃子が3分の1くらい浸かる量の水を入れる。  じゅううう~~ 「フタ!!! 如月、フタ!!! 早く!!!」  如月が慌ててコンロ下の収納からフタを取り出し、フライパンに被せた。  わくわく。  3人横並びで餃子を見つめる。  ぱちぱちぱち。  水分がなくなってきたのか、フライパンから弾けるような音が鳴る。フタを開けて確認する。水分はない。良い匂い。ごま油をまわしかけ、餃子に焼き色をつけた。 「おけ!!!!」  火を消して、フライパンに大皿を被せ、一気にひっくり返す。 「っらぁああぁあぁあぁあ!!!!」  大皿に丸く広大に広がる綺麗な焦げ目。羽付きではないが、大皿に移された餃子の群衆には眼が釘付けになる。 「「ぉおおおぉお~~~~!!!!」」 「完璧な仕上がり」ドヤ顔で卯月に大皿を渡す。 「持っていくね~~」  タレはパンチがあれば適当でいい。小皿に醤油、豆板醤、ゆずポン酢、ラー油を適量混ぜ、完成。白米と箸、タレを如月と一緒にリビングへ運ぶ。  卯月が餃子を見て、口を開いた。 「私たちの関係は餃子のよう」 「餃子?」卯月を見る。 「お兄ちゃんはいつも中心にいて如月は外から包んでる。それを繋ぎ合わせるように、私がいる」 「タネと皮と皮につける水のバランス!!!」 「えっと……お互いが必要な関係だね」  卯月の頭を撫でた。妹なりの、幸せの表現なのかもしれない。如月と卯月を交互に見つめ、手を合わせる。 「「「いただきまぁ~~す!!!」」」  餃子をつまみ、口の中へ運ぶ。皮はもちもちし、焦げ目がパリッとする。キャベツの甘さと肉の旨みのハーモニーが絶妙だ。噛んでいると程よく出る肉汁は箸が止まらない!!! 「美味しいぃ~~っ」 「餃子うま!!! 米が進む!!!」 「美味しいです~~」  繋がった餃子を箸で切り分け食べる。ひとつずつ確実に減っていく。豆板醤とラー油の効いた、辛味ある酢醤油のタレは食べ慣れてきた餃子にパンチを与える。  話しながらご飯と一緒に食べる餃子はとても美味しくて。食卓に明るい声が響く。  あまり、サプライズみたいな感じにはならなかったけど、この餃子パーティを楽しんでいる。  卯月も如月も、そして俺も。  笑顔が溢れる食事の時間は、心もお腹も満たされ、幸せだ。    ーーーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー  *  フライパンいっぱいに焼いたはずの餃子は、全て完食した。私のための餃子パーティ。ならば最後は私が片付けないと。食べ終わったお皿や食器を流し台へ運び、スポンジを手に取る。  慣れない家事仕事。ぎこちない手つきで一枚ずつ丁寧に洗っていく。 「手伝うよ」  隣に睦月が来た。でももう少しで終わる。ここまで来たら、全てやってしまおう。最後の一枚のお皿を水で洗い流す。 「もう終わりますから、大丈夫ですよ。ありがとうございます。はい、終わり」  水で軽く手を洗い、タオルで水滴を拭き取り、心配そうに見つめる睦月の頬を、軽く手の甲で撫でた。何がそんなに心配だった? 「卯月さんは?」 「今お風呂入ったとこ」  お風呂かぁ。卯月さんは防音の空間。そして睦月さんと2人。ちょっとだけ、いちゃいちゃしたいと思ってしまうのは、いけないことだろうか。  いや……2人で何もしないで、まったり過ごす時間も大切にすべきなのかも。 「…………」  どちらが正解かわからず、睦月の背中を押しながら、和室へ向かう。和室なら、どちらを選んでも問題ない!!! 「……な、なんで和室へ?」恥ずかしそうに俯いている。かわゆ。 「なんでって……ちょっとシたくなっちゃったから?」  あ、つい本音が。睦月さんも分かってるくせに。少し頬を染める睦月に、思わずクスッと笑ってしまう。  和室へ入り、閉鎖するように襖を閉めた。後ろから睦月を軽く抱きしめる。Tシャツの下に手を入れ、胸の先端を円を描くように擦る。 「ちょっ待って……卯月お風呂あがってくるし……だ、だめ……ぁっ…」小さく鳴く声とビクッと上がる肩に胸が高鳴る。抱きしめたまま、布団の上に座った。 「いちゃいちゃしたくない?」下着の中に手を入れ、あたたかい幹を手で包み込む。 「ぁっ…し、したいけどっ……卯月が……んっ」可愛い。ダメと言いつつ、感じている睦月さんのここ。 「キスしよ」睦月の顎を持ち、強制的に私の方を向かせた。戸惑いのある睦月の目。その目さえもそそられ、唇を重ねる。 「っん……ん…っん…んん…はぁ…ん…はぁ…ん…んはぁっ如月っ!!」頬を赤く染め、大きな声で名前を呼ばれた。 「なぁに? 睦月さん」手で掴んだ顎は離さない。快感にとろけ、歪んでいく睦月の顔を見ていたい。 「だ、だめだってばぁ……」 「なら、やめる?」  手の中で感じる。硬く、おおきく、脈打つ、睦月さんのここ。手を上下に動かし、気持ちを煽り、昂らせる。 「~~~~っ」 「どうする? やめようか?」  目尻を下げ、口をつぐんでいる。気持ち良さと自分の気持ちに悩んでいるのだろう。もう少しだけ、可愛い睦月さんの声を聴いてやめよう。無理強いはしない。たぶん。硬く閉じている、そこに指を挿れる。 「ぁああっ…はぁ…如月っだめっ…んっあっ…やっ…」  2本の指先が甘く締め付けられた。腕の中で震える肩と、可愛らしく鳴き声をあげる睦月に下半身が熱を帯びる。 「睦月さん、キス」掴んでいる顎を自分に近づけ、唇を重ねる。薄く開いた口唇から舌を捩じ込む。やだと言いつつ、実は誘ってるでしょ。 「っん…んん…っん…はぁ…ん……ん…んはぁ…ん……ん」舌を絡めて深く触れ合う。顔を傾け、何度も舌を追い、包み込む。睦月さんから出るあたたかく甘い吐息も全て私の中へ取り込みたい。 「ーーはぁっ…はぁ…俺だって…シたいっ……はぁ…」  振り返り、顔を赤らめ、とろんと潤む瞳で私のシャツを握り訴える姿はもう欲情を抑えきれない。その中で微かに残る理性が働き、手が止まる。 「でも……卯月さん…もう来るかも……」  もうお風呂から出ていても良い頃合い。こちらに気を遣っているようにも思える。もし気を遣ってくれているならば、このまま続けてもいいような。  でも大人として(?)このまま続けるのは如何なものか。睦月さんがダメと言っていたはずなのに、いつの間にか私がブレーキをかけている。  腕の中で汗ばみ、今にも蕩けてしまいそうな睦月さんを見てしまうと、中に挿れて、心も体も、愛で乱れさせたい一択である。    理性と性欲が戦う。ぐるぐる。考えがまとまらない。 「…き、きさらぎぃ……キスして……あと指うごかしてぇ……」  睦月の手が快楽を欲するように私の頬へ触れた。  この甘えんぼの求めたがりめ!!!! くっ!!! でもかわいいから全て許す!!!! もう知らない!!! 睦月さんが望んでいるからこのまま致す!!! 「んっ……はぁ…ん…ん……~~~っはぁっ~~っ」掴んでいる睦月の顎に、顔を近づけ口唇に触れる。熱と吐息を感じるその唇に、もう離れられない。お互いの唇の感触を確かめ合うように唇を軽く押し付けた。  顎から手を離し、睦月を抱きしめ、布団へ倒れ込む。何も準備はしていない。このまますることに少し抵抗はあるが、今はそれよりも私へ溺れさせたい。  この後、一緒にお風呂入ればいっか。 「ぁっぁあっ…んっ…はぁ…あっ…ゃっあっ…だめっ…あっ…」指を押し込み、感じる部分を突く。指への締めつけがきつくなる。締め付けをほぐすように指先を動かす。 「もう挿れてもいい?」すぐにでも挿れたい気持ちを、結構我慢している。熱く湿っぽい内部を自身を挿れているのかのように、緩急をつけ、突く。 「はぁ…ああぁ~~っあっ…んっやだぁ…はぁあっぁっ…もっと…ぁあっあっもっと…ああっ」指先に溺れ、瞳に涙を抱えて喘ぎ、その先への快楽を求めてくる。このままイキたいのかな?  お望み通り、叶えるよ。私の大切なお姫さま。 「ぁっあっあっやめっぁああ~~っきさらぎだめっあっぁっ」睦月の目から涙が溢れた。瞼は下がりかけ、視線は揺れている。そっと腿に手を触れる。小さく震えを感じた。オーガズムに向け、前立腺を激しく指先で突く。 「ああっだめっっぁああっ! はぁやぁあっおれあっだめぇっきさらっぁあっああぁあ~~っ!」強烈な快感が全身を巡っているのか、身体はガクガク震え、腕の中で動かない。止まらない涙は美しく思う。 「ドライでイケたね、睦月さん」 「あっ……はぁ……あ……」  叫ぶように鳴いたきり、上手く声が出せない睦月に、そのまま語りかける。 「でも勿体ないよねぇ、せっかく今すごく敏感なのに、このままおしまいは」 「……はぁ…ぁ……え……?」  膝の下に腕を通し、お姫さまのように抱きかかえ、立ち上がる。ここでこのまま続けたいが、卯月さんのことを考えると、お風呂へ行った方が良い。  足で襖を開けると、襖の向こうに卯月がいた。 「何してるんですか」全部聴いていた? 「覗かなかっただけ、良心的だと思わん?」どういう返し!!! 「お風呂入ります……」そのまま卯月の横を通る。 「ごゆっくりぃ~~」卯月はニヤニヤしながら手を振った。 「…きさらぎ……震えが止まらない……」震えた手で胸元のTシャツを握っている。 「お楽しみはこれからだよ?」  脱衣所へ行く足を止め、おとなしくお姫さま抱っこされている睦月の顔を、覗き込む。目がうつろ。涙なのか、唾液なのか、汚れた口元に唇を触れ合わせる。  ちゅ。 「大丈夫だよ、優しくするから」 「そーゆー問題ちがう……」 「続きしないの?」  恥ずかしそうに黙る睦月を愛しく思いながら脱衣所へ連れていく。脚からそっと下ろして、睦月の服を一枚一枚、丁寧に脱がせていく。そして、最後に下着を下ろす。  蜜を溢れさせながら、跳ね上がる幹が目に入る。  おさまらない、その姿。  こんな風になるまで、感じてくれたのが、  嬉しくて、可愛くて、愛しくて、思わず笑みが溢れた。

ともだちにシェアしよう!