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第27話

 ごくりと生唾を飲んで言ったら、「いいんだな」と念押しされた。 「いい。……つか、ここまで来てやめねえっての」  言い切って、手を伸ばし、伊織の頭をグイと引き寄せた。  喉元に伊織の顔が近づいてくる。チュッと啄まれて、くすぐったさに身を捩った。口を離した瞬間に伊織が「はぁ……」と息を吐く声が聞こえる。濡れた皮膚に息がかかった。 「っ……、ぁ、伊織……」  巻いただけのバスタオルの下から入ってきた伊織の手が太ももに当たる。そのままするりと移動してきた手に屹立を撫でられて、腰を引いた。骨ばった指が、屹立に絡む。 「ぁ、あぁっ……、ぅ、ぁ……」 (気持ちイイ……、けど……)  むくりと身体を起こし、手を伸ばす。伊織の腰に巻きついていたバスタオルを剥ぎ取って、雄大は言った。 「……オレもする」 「え? いや、いいって、今日は俺が……」 「オレも、したい」  ぱちりと瞬きをした伊織に制されたが、じっと目を見て「一緒にする」と雄大は訴えた。 (される側、なのはいいんだけど、やっぱ俺も……)  二人で一緒に触り合った時の、気持ち良さそうな伊織の顔が見たい。あんな伊織ははじめて見たから。 「雄大、こっち来て」 「ん……」  寝転がるように言われて、身体を倒す。「このほうがやりやすい」と言った伊織も同じようにベッドに寝転がってきた。  向かい合わせに横になって、勃起した互いのものを擦り合う。 「は、あぁっ……、ぁ、ぁ……」 「っ……、雄大っ……、はっ……」  雄大の屹立と、伊織の雄の先が当たる。だんだんと息が上がってきて、雄大は屹立の先を伊織のものに擦りつけた。 「伊織っ……、オレ、もうっ、ぁ……、ヤバイっ……」 「はっ、ぁ……、雄大っ……、っ……」  もうそろそろ達してしまいそうだ、そう思った時、伊織に唇を塞がれた。  ぬるりと入ってきた伊織の舌に上あごをずりっ、となぞられる。 (も、無理っ……) 「んっ、んん――っ……」  びくりと震えて、たまっていた熱を吐き出す。握っていた手の中で伊織の雄がどくりと脈打つ。 「っ、――っ……、はぁ……」 「は、ぁ……、死ぬ、かと……、思った……」 「っ、悪い……」  伊織の唇が離れた瞬間、雄大は思いきり息を吸った。口を塞がれていたから、うまく息ができなかったのだ。キスをするときには鼻で呼吸すればいい。そんなことは常識だし、わかっているのだけれど、吐き出す声を口の中に取り込まれているみたいになって、うまく呼吸できなかったのだ。  仰向けに転がり、はぁ、はぁ、と息を吐いて、乱れた呼吸を整える。尻あたりのマットレスが沈んだ感覚がして、雄大は横を見た。 「伊織?」  膝をついた伊織がベッドの上を移動する。ヘッドボードのトレイから小さな袋を取った伊織に「続けていいか?」と聞かれた。

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