29 / 32
第29話
屹立から顔を離した伊織は左手を雄大の身体の横につき、上半身を屈めてきた。あっ、と思った瞬間、胸粒を口に含まれる。口の中に取り込まれた雄大の胸粒を、ぢぅ、と吸った伊織がちろちろと胸粒の先を舐められた。指の腹で直腸の壁を撫でこすられる。
身体の中を弄られているだけ、そう思っていたはずなのに、どこかおかしい。胸粒を吸われるのと同時に尻の中を伊織にぐいと押されると、無意識にベッドから尻が浮いた。
尻の中がじくじくする。伊織が中で指を曲げると尻が引けそうになるくらい刺激が強い。ベッドを掴んで身体をずらそうとしてみたが、できなかった。シーツについた右手を伊織に掴まれたからだ。
「ン、ぅ、ぁ……、ま、やぁっ……、ぅ……」
もうちょっとだから、と言った伊織は雄大の中の入れた指を遠慮なく動かしてくる。グチュグチュと音が鳴るほど尻の中をかき混ぜられた。ぎゅうと尻の中が締まった感覚がして、雄大はたまらず左手を伊織の背中に回し、伊織にしがみついた。
「伊織、ぁっ、ヤバイ、なん、か……、ぁ、うあぁ――っ、……ぁ、ぁ……」
おかしい、と思った瞬間、尻ががくがくと震えた。ぶわりと身体が浮いたみたいになって、力が抜ける。
(な、んだ、これ……)
達してしまったのだと思って少し頭を持ち上げてヘソのほうを見る。
(あ、れ……? 出てない?)
今、確かに達したときと同じくらい気持ちよかった。いつもとは違う感覚だったからよくわからないけれど、ふわふわして、ぼぉっとしてしまうくらい気持ちいいと思った。だから、出てしまったのだと思ったのに、雄大の屹立は勃起したままで、腹の上には何も出ていない。どうしてだろうと思った雄大の思考はそのまま疑問の言葉となって口から零れた。
「……な、んで?」
意味がわからなくて呆然としていたら、伊織に「どうした?」と聞かれた。
「だって、今、オレ……」
達したと思ったのに、と言ったら、伊織の視線が雄大の屹立に移動した。
「ああ。それ、こっちの感覚だから。指、抜くぞ」
「へ? ぁ、あぁっ……」
クイ、と肉壁を押されて雄大は声をあげた。不思議な感覚だと思っていた尻の中を弄られる刺激は、はっきりとした快楽に成り代わったらしい。尻の中から出ていこうとする指を無意識に尻が食んだ。
頭のほうに手を伸ばした伊織がゴムの袋を開ける。膝立ちになった伊織はするすると雄にゴムを装着し、雄大の太ももをグッと押してきた。雄の先が蕾に押し当てられる。
「いいか?」
ともだちにシェアしよう!