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第5話

 5.  ミスズの悲鳴に、リースは慌てて起き上がった。  まだ夜も明けたばかりなのに、しかもこんな大声をあげるとは珍しい。リースは目を擦りながら彼の姿を捜す。  彼は、長い髪を振り乱し、自分の手のひらの中を見つめていた。わなわなと肩が震えている。 「も、漏れてる」 「え、漏らしたの?」 「違います!」  ミスズは振り返ると同時にリースの目の前に小瓶を突き出してきた。なみなみ液体が入っている。 「漏れてるんですよ! 蓋の隙間から少しずつ! じわじわと奴の力が!」 「はあ」 「さあ、ルブ様のところへ行きますよ! 早く! 支度を!」 「えー」 「ぜっったい、確信犯ですよ! 信用するんじゃなかった!」  ***  コテンは、再び寝入ってしまったらしいルブの髪を指で梳きながら、微笑みを浮かべていた。小瓶の中の液体はコルクの隙間を通れる程の粒になって、ゆっくり、コテンの元に帰ってきている。  とはいえ、完全に元に戻るには、まだ時間がかかるだろう。  それでいい。 「ゆっくり、小さいモノから慣らしていこうなあ、ルブ」

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