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第16話 マンツーマンplay
『嬉しいです! 俺もエースくんのこともっと知りたいです(ニコちゃんマーク)』
由羽はたいへん満足していた。まるでホットココアを飲んだ後かのような満たされっぷり。推しDomのエースくんとこんなにお話できるなんて……今年の運を全て使い切った気がする。
『じゃあ、少し僕につきあって』
ん? どういう意味だろ。
一抹の不安を抱えながらも由羽は承諾する。
『いいですよ! 俺でよければ』
その後すぐに返事が来た。
『めっちゃ従順だ笑。躾甲斐ありそう』
ふみゅ?? 躾甲斐ってなんだろ。なんか妖しい紫の響きがするような……。
由羽が戸惑っているうちに追加のメッセージが届いた。
『おにいさんはメッセージの文字だけのplayってしたことある?』
『いえ、したことないです』
素直に打ち明けるとエースくんからとんでもない返信が届いた。
『じゃ、しよ』
ドドドドキュン。と由羽の胸が撃ち抜かれた。一瞬かくん、と身体の力が抜けた。次いで、心臓がバックバックと踊り出す。情熱的なタンゴのリズム。危うくスマホを落としそうになった。心臓の中の小人が情熱的なタンゴを奏でる。
『お願いしますっ』
急激な血圧上昇で脳みそがくらくらするが、とりあえず返信は打てた。
まじか。エースくんとマンツーマンplayさせてもらえるとか……Subに生まれてよかった。
『おにいさんのことなんて呼べばいい?』
『由羽 でお願いします』
本名を教えるのにもう戸惑いはなかった。エースくんにもっと自分のことを知って欲しかった。
『由羽。Kneel 』
「っ」
エースくんからのCommandに、身体が反応する。ベッドから下りてラグの上でおすわりをしてしまう。おしりをラグに付け、足を広げる姿に、正面にある姿見で自分の姿を見てしまい、目を逸らす。
『ちゃんとできたかな?』
『はい。おすわりしてます』
羞恥に耐えながら返事をする。
『ヨシヨシ。おすわりえらちいね』
エースくんからの優しい褒め言葉に思わず
「わんっ」
と小さく返事をしてしまった。子犬のように。
──……よかった。今の聞かれてなくて。
『Strip 』
「え」
自分の手がまるで魔法にかけられたみたいに、意志とは無関係にパジャマのボタンを開けていく。プツン、プツンとボタンを外す音が耳に残る。
──……やばい。これなんか……。
するりとスウェットを脱ぎ、残るは下着1枚のみ。どうしてもそこに手が行くのを迷ってしまう。それに痺れを切らしたのか追加でメッセージが届いた。
『下着脱ぐの焦ってそう笑。下着は脱がなくていいから、代わりにーー。Present 。今の状態を写真撮って送って』
「……っ」
まさかの指示に身体がカッと熱を帯びる。あまりの恥ずかしさに、足をもじもじとしつつ返事を送る。
『……恥ずかしいです。あと、ここでそういう写真送ったら垢BANされちゃいそうで、、、』
どんな反応が返ってくるか少し怖い。
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