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第15話 狼さんからの返礼品
『全然つよくないです!笑』
冗談の流れでこの話題からフェードアウトしようと目論む。そう、ちゃけた返事をしたら、1枚の写真が送られてきた。
『僕もお返し』
というメッセージとともに、エースくんがテーマパークで撮影したと思われる狼の耳のキャラクターのカチューシャを付けている写真が届いた。背が高くて、9等身みたいなスタイルの写真に釘付けになる。エースくんは片手にはピンク色のチュロスと、小脇に狼のキャラクターと思しきパペットぬいぐるみを抱えていた。
か、かっこいい。カメラ目線で、「に」と微笑む姿は大人っぽくて、でも目元は赤ちゃんみたいににこにこでかわいい。とてもご機嫌な様子だ。エースくんは黒髪前髪シースルーウルフの髪で、よく似合っている。
やばいやばいやばいかっこいいかっこいいかわいいかわいい。
由羽の脳内がエースくんで埋め尽くされて窒息しそうになる。口元に手をあて、ほゎわーと癒されてしまう。
写真を拡大して眺めていると、それを見透かしたかのようにエースくんからメッセージが届いた。
『拡大して僕の写真見てるでしょ。おにいさんむっつりスケベ。えっちえっち』
「むっ、むっつりスケベ!?」
いやっ、写真は拡大して見ちゃったけども、、! むっつりスケベではない。えっちくもない! 断じて! 俺は全然変態ではない!
由羽は慌てて返信をする。
『エースくんかっこよかったので拡大して写真は見ちゃいましたけど、俺は全然むっつりスケベではないです汗』
おい。「汗」ってなんだよ。平成のメールかよっ。
自身のメッセージにハリセンツッコミを入れながら後悔ばかりが募る。どうしよう。エースくんにきもい奴って思われたかな……穴があったら入りたいたぬきです。
『おもろ』
『笑』
エース君からの返信を見て少し安堵する。よかった、嫌われてたら返信も来ないだろうし。ギリセーフかな? と安心していたのも束の間。
『おにいさんと話してると楽しい。もっとおにいさんのこと知りたい。いい?』
と、エースくんからメッセージが届いた。
わっ! まじで?
今にも宙に舞い上がりそうなくらい嬉しい。泣きそう。鼻をズズっとすすっていると、メッセージからエースくんの性格が伝わってくるような気がした。
この人、絶対Sだ。それと、『いい?』って聞いてくるのは相当自分に自信があると見える。普通は『ダメ?』と聞いてきて、相手が恥ずかしくも嬉しくて『いいよ』って答えるもんだろ。これは相当のやり手だなエースくん。
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