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第14話

 ……ェ。ていうか、店とか個人情報だけど伝えていいものか。  由羽はおろおろしてしまう。犯罪蔓延る現代社会で職場を他人に伝えてしまうのはナシではないのか……っ。倫理と道徳の反復横跳びを繰り返した後に、決意した。  ええい、送ってしまえ。もっと俺のこと興味持って欲しいから。怖くて泣きそうだけど。 『都内にある「yourf」っていう店で働いています』  送っちゃったよ俺。どうしよ。どんな反応返ってくるんだろ。てか、エースくんが俺の職場知っても利益無くね? なんで聞いてきた?  由羽の謎は深まるばかりである。 『ふうん。目黒か。休みの日はなにしてんのー』  はい。店検索されてる。都内って言ったのに……。目黒に店があるってバレた。そして反応薄い。まあ、突っ込まれなくてよかった……。 『俺、平日休みなんで後輩と飲み行ったり、カフェ巡りとかしてます。美術館も気になる展示があれば行ってます。長い休みのときは友達と温泉旅行とか海とか見に行ったりしてます』  ちょっと長文すぎるかな? でも、嘘はついてないしっ!  100パーセント勇気を胸に、送信ボタンをタップする。 『そうなんだ。僕も景色綺麗なとこすきだよ』  返信短っ。俺、つまんないこと送っちゃったかな……。 『景色綺麗なところいいですよねっ。俺もそういうところ行くとたくさん写真撮っちゃいます』  なんか脈ナシな気がしてきた……。俺の話面白いかな? 『僕も写真好きだから、おにいさんの写真もっと見たい。送って』 「なゃっ!?」  写真、俺の? 他撮りとかあんましないんだよな。でもっ、、、見てもらえるなら見てほしい。誰だって推しに認知されたいもんだよな。 「これでいいかな……」  由羽は不安げに選んだ写真を1枚エースくんに送信する。ドキドキしながら返信を待つこと5分。  ェ。返信こない。おわた。脈ナシじゃんか……。  由羽がぼふっとベッドに沈み込む。 「そうだよな。エースくんとマッチするだけでも奇跡なのに、こうやってメッセージできてよかったって残りの寿命の中で感謝しよう。ぐすん」 『めっちゃ性欲つよそう』 『笑』  と、続けてエースくんから返事が来た。性欲つよそうってなに!? しかも語尾に「笑」付けるとかどういう意味を含んでるの? だって僕がエースくんに送った写真は今年の春に夜桜を背景にしていちご飴持ってる写真だよ。全然えちくないよ。どこをどう見たら性欲つよそうに見えるの?

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