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第13話 時は来た

「ぽちっ」 【1いいねが消費されました】  由羽は推しのエースくんに向けていいねを送ってみた。お知らせの通知を目にするも、エースくんからいいね返ってきたらいいなあなんて思ってみたりして。むふふ、と顔に出ているのを自覚できるくらいににんまりとした心地だ。 「ぴぃっ!?」 ピコン【1いいねが届いています】 「にゃっ!?」  ーー……わっ、待って待って。うそ。そんな、秒で返ってくるなんてありえな……いーー。  しかし次の通知に由羽は気絶しそうになる。 ピコン【エースさんより1件のメッセージが届いています】  ま、じ、でー!?  由羽の頭の中は急にマグマのように熱くなる。緊張と期待で胸から何か産めそうだ。 「おちけつ。おちけつ」  1度、冷静さを取り戻すためにスマホを裏返しにしてすーはー・すーはーと息を吸う。そして、再度スマホの画面を見てみる。 「うそ、ほんとにエースくんからメッセージきてる……」  おそるおそる、メッセージを開く。するとそこには、エースくんから送られたメッセージが届いていた。 『マッチありがとうございます。 写真の雰囲気がいいなと思っていいねしました。 よろしくお願いします』  絵文字ひとつも無いけど、ほんとにいいって思ってくれたのかな?  塩というか淡白というか。  Sweet playに課金するユーザーは自身のプロフィール写真を投稿しなければならない。配信者がいいねを送るか否かはプロフィール写真にかかっていると言っても過言ではない。エースくんのメッセージを読み、やや思案して由羽も返事を送る。 『はじめまして! マッチングありがとうございます。 いつも配信見ていて気になったので初めていいね送りました笑 メッセージからよろしくお願いします!』  く〜っ、文末に「笑」とかつける自分ダサすぎて……でも、こうするしか……。変な人と思われたらどうしよう。。。    しばらくエースくんからの返信を待っていると程なくして返事が届いた。 『それは嬉しい。プロフィールの写真、ヘアスタイルとかメイク上手いね。なんの仕事してるの?』  わっ……! 褒めてくれてる!? 嬉しい。天に召されそうです今俺は。って、急にタメ口て距離近くないか……? 不安になりつつも由羽は即返信する。 『ありがとうございますっ! 自分はまだまだ全然で……。都内で美容師してます』  職業も開示してしまったけど、まあエースくんに認知してもらうため……! なら許せる自分が怖い。 『美容師なんだ。なんて店で働いてんの』  即返信が来た。エースくん俺に興味持ってくれてるのかな……? ただのひまつぶしかな、、?あ。ひつまぶし……。

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