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第66話 推しがクリスマスデートしたいとのことです

「せんぱーい! こっち飾るのお願いできますか? 俺の背の高さだと届かなくて」 「いいよ。貸して」  yourfは絶賛クリスマスシーズンのための飾り付けを美容師がする季節になった。由羽はウォン・ポムより背が高めなので、クリスマスツリーの1番てっぺんにある星の飾り付けをする。 「由羽先輩やっぱ背高いっすね」 「そうかな」 「何センチくらいあるんですか?」 「181くらい」 「巨人だー」 「……それ褒めてるのかな?」  由羽が苦々しく笑うと、ウォン・ポムが「褒めてますから」と食らいついてくる。クリスマスまであと1週間を目前にしているところだった。由羽の働く美容室では、クリスマス前もかなりお客さんが髪を整えにくる。クリスマスデートの前に髪型を変えてイメチェンする人、失恋のためにロングからボブにする人、冬休みだけ茶髪に染める高校生。年齢も性別も多種多様なお客さんがやって来るため、大忙しだ。由羽も担当しているお客さんに指名され、一息つく暇もないほど施術をしている。そのサポートとしてウォン・ポムをはじめとするアシスタントの子たちに手伝ってもらい、繁忙期のクリスマスシーズンを乗り越えようという算段だ。この日は珍しく予約を全て終えたため、クリスマスツリーの微調整としてウォン・ポムたちアシスタントの子が買ってきたオーナメントを飾り付けていた。クッキーの形をしたクマの飾りや、LEDライトをツリーに巻く。 「よし、点灯確認します」  ぱち、とウォン・ポムが室内の明かりを消す。 「うわ。めっちゃ綺麗……」  ピンクを基調としたクリスマスツリーに光が灯る。キラキラとしたオーナメントが光に反射してさらに輝きを放つ。何枚か写真を撮影して見栄えを確認する。yourf自慢のSNSフォトブースコーナーもクリスマスの装飾がばっちりと施されている。 「これで今年のクリスマスは映そうだね」  満足そうに呟く由羽を見てアシスタントのウォン・ポムもうんうんと力強く頷いた。

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