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第95話 《番外編》嫉妬した忠犬Subのかわいすぎる反撃 (side 由羽) ※

 それは、希逢くんと正式にお付き合いをして同棲中のある日のことだった。  18歳になった希逢くんの生活リズムは高校生なのに多忙を極めている。  平日は高校に通いつつ、帰宅したら即配信の準備。出前を注文して配信中に食べたりもするらしい。『いっしょにご飯食べよう企画』なんだって。  本当は俺の手料理で栄養満点のご飯を食べて欲しいところだけど、変に手の込んだものを希逢くんが食べてるところをファンの人に見られたら、彼女と同棲中? って勘ぐられちゃうみたい。それは困るよね……。Dom配信者の希逢くんのファンは8割が女性のSubらしいから。  だから今日も仕事終わりに希逢くんの家に帰ると、自室で配信中。あまり大きな音を立てないように気を遣うのもいっしょに暮らし始めてから覚えた暗黙の了解。  あ、希逢くんの笑い声が部屋のドア越しに聞こえる。  もちろん俺も希逢くんには内緒で自分のスマホでノイズキャンセリングイヤフォンを付けてリビングのソファに寝っ転がって配信を見てるファンのひとり。すぐ触れられる距離にいるのに画面越しの希逢くんがはるか遠くに感じられて、なんか寂しい。  はやく配信終わらないかな?  ほぼ毎日配信している希逢くんの生活は完全に夜型で、翌朝は普通に学校があるから睡眠不足なんじゃないかってお母さんみたいに心配しちゃう。  はやく寝たほうがいいよ。ん、でもね。ほんとはもっと夜はくっついてたいなあ。いっしょにベッドに入って、ぬくぬくしたお布団の中でぎゅーってして欲しい。  なんていう妄想が止められない。 『今日は皆さんお待ちかねのコラボ企画でーす』 「……コラボ?」  スマホの画面の中で希逢くんがいつもの低い声でテンション低めに発表した。俺は配信スケジュールを確認していなかったのを後悔する。今日はSweet play で活動している他のDom配信者とコラボの日だった。  俺はさらにむっとして画面に映る希逢くんを見つめる。 『こんばんはー! エースくんのマブダチのレンレンでーす』  エースくん、というのは希逢くんの活動者名だ。レンレンと自己紹介した男の声の人は、zoomで繋いだ別のスワイプ画面から首から下を写して手をふりふりしている。  マブ、ダチ?  俺はむむっとさらに眉間に皺を寄せて画面の中の希逢くんを見つめる。マブダチだなんて聞いてない。レンレンって誰? 『レンレンは俺をDom配信者にさせてくれた恩人です』  手を合わせてお辞儀する希逢くんに俺の視線が全て持っていかれる。 『そう! 俺がエースくんを誘ってDom配信者にしたんだよ。だからファンの皆! 俺に感謝してね』  んん、なんかレンレン馴れ馴れしい。 このエピソードを聞くのは由羽も初めてで耳をそばだててしまう。  そこから先は2人の趣味のダーツの話とか麻雀の話になり、俺はついていけなくなった。明日も仕事だし、とシャワーを浴びて簡単にツナマヨおにぎりを作って食べてベッドに入った。一応、配信の後でも明日の朝でも食べられるように希逢くん用のツナマヨおにぎりも2個作っておいた。高校生の希逢くんの食欲は底なしで、たくさん食べるのにあんなに細くて羨ましい。  仕事の疲れもあって、すやすやと眠りに落ちていった。

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