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第2話 あいとの場合
「せーんせっ」
研究室の出入り口の扉に手をかけながらあいとは目的の人物を探して部屋の奥をうかがった。
んー、いない…?
と、見せかけてー
トコトコと本だらけの廊下を歩いていくと、見えた白い大きな背中。あいとは駆け寄りその背中に抱きつき
「いた!!ぜんせんせ、見っけ」
「あいと」
名前を呼ばれると一歩うしろに下がってあいとは両手を上にあげた
「ぜんせんせ、だっこ!」
「はいはい。あいとはハグが大好きだね。よっと」
せんせと呼ばれた男の胸にはヴァルハラ研究所所長皇 と書かれた名札が光っていたがまだあいとは漢字が読めない。
皇は年齢よりもずいぶん幼い雰囲気のあいとを抱き上げながら笑い、
窓から空を見上げた
(未来…)
きみが最後に産んだ子。あいと、今年で12歳だ。第二性は先日βと診断された。が…まだ、精通は来ない。それどころか成長そのものが遅い。
この子のΩ化計画はまずは精通を迎えさせて…それからだ。
あいとはありがたいことによく俺に懐いている
実験にも処置にも治療にも協力的で気持ちのいいことも大好きのようで本当に可愛らしい…
嫌がってこの部屋に来ない子もいるのに、自らここに来るくらいいい子だ。
無垢 な少年は、自分が被験体であることも知らずにその研究者に抱かれ、ベッドに横たわされた。
「あいちゃん。いい子に今日もしていられるかい?」
「ん。今日は何して遊ぶの?」
「あいちゃんの大好きなおもちゃで遊ぼうか?」
「ぜんせんせがいいなぁ、ぼく」
「いいよ。じゃあまずはどこを触ろうか」
あいと…可愛い俺の大切なモルモットの1人。遊びと称したえっちな実験が始まった
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