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4.Bump~運命の出会い

 いや、オレだけじゃない。  オレの帰りを待つ妹は育ち盛りだし、母さんは病人だ。  元気なオレはいい。  だけど女性の母さんや妹は違う。  できることなら飯を食わせてやりたかった。  父さんがいなくても、ちゃんと二人を幸せにしてやりたいのに……。  ――悔しい。  ものすごく、悔しい。  何もできないちっぽけな自分に腹が立つ。  自分に対する情けなさで目頭が熱くなって、視界が歪む。  涙があふれてくるけれど、それでも泣くなんて、一端の戦士になった男として、恥だ。  人前で泣くなんて――しかも、敵かもしれない奴の前で泣けるわけがない。  オレは、出てくる涙を見せまいと、視線をシミがひとつもない、紫色をした綺麗な絨毯(じゅうたん)を睨んだ。 「どうしたんだ? この家には俺以外誰もいないから、警戒しなくともいい」  何も知らない男は、押し黙ったオレが気になったのか、顔をのぞき込んできた。  しらじらしい! 飯を全部台無しにしたのはお前だろ?  男の行動が、自己嫌悪に陥っているオレを余計に苛立たせた。

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