23 / 158
12.Bump~運命の出会い
「……っつ!!」
――もう、限界だった。
初めて会った相手だとか、身分があるお偉い奴だとか。
大金持ちだとか、そんなこと今はどうだっていい。
男のおかげで、オレが今まで築き上げてきた防波堤は崩壊した。
父さんが逝ってしまったこと。
働いて収入を得られないことへの憤(いきどお)り。
母さんの病状が、金がないために医者に診せることさえできなくて、日に日に悪化していっていること。
幼い妹の存在が――。
オレの両肩に、重くのしかかっている、さまざまな不安要素が、一気にあふれ出した。
「っふ……うわあああああんっ!」
人前で無様に大泣きするオレはなんて恥知らずだろう。
そう思うのに、一度流れはじめた涙を引っ込めることはできない。
オレは今までに出したことがないくらいの大声で、泣いた。
だけど男は、オレを馬鹿にすることはない。
ともだちにシェアしよう!