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12.Bump~運命の出会い

「……っつ!!」  ――もう、限界だった。  初めて会った相手だとか、身分があるお偉い奴だとか。  大金持ちだとか、そんなこと今はどうだっていい。  男のおかげで、オレが今まで築き上げてきた防波堤は崩壊した。  父さんが逝ってしまったこと。  働いて収入を得られないことへの憤(いきどお)り。  母さんの病状が、金がないために医者に診せることさえできなくて、日に日に悪化していっていること。  幼い妹の存在が――。  オレの両肩に、重くのしかかっている、さまざまな不安要素が、一気にあふれ出した。 「っふ……うわあああああんっ!」  人前で無様に大泣きするオレはなんて恥知らずだろう。  そう思うのに、一度流れはじめた涙を引っ込めることはできない。  オレは今までに出したことがないくらいの大声で、泣いた。  だけど男は、オレを馬鹿にすることはない。

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