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11.Bump~運命の出会い

 言ったところで時間の無駄だ。  そう考えていたオレの思考は、だから男の言葉で完全に止まった。  だってオレを助けようとしたのは男にとってただの偽善にすぎないって思った。  それなのに……。  目の前にいるこの男は人前で泣いている恥知らずなオレに向かって目を細めて悲しそうに微笑んでいる。 「苦しいんだよね、君たちは……そうだね、君の言うとおりだ。この世界から貧しい人々を無くそうと思うのなら、目に見える部分だけではなく、根っこの部分から始末しなければならない……」  オレの目尻に、男の長い指が触れる。  頬を伝い、流れ出る涙を受け止めた。  男はオレの言い分を馬鹿にすることなく、それどころか肯定した。 「すまない」  それは、ただの謝罪。  だけど、今まで鼻持ちならない奴からそんな言葉を聞いたことがあっただろうか。  たったひと言の、その言葉が、オレの心を打つ。

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