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4.Idiot~名前

 ヘサームはいまだに首を傾げている。  それがオレの名前だっていうことを、ヘサームが理解してくれるまで待っているのもなんだかとても日が暮れそうだ。  やっぱコイツの名前、『鋭い剣』らしくないや。 「あ~~っとな?」  観念したオレは、もう一度口を開いた。 「オレの名前だよ馬鹿!! あと、お前。見ず知らずの人間を家に上げるな!! なんかあったら危ないだろうがっ!!」  ついでに説教も。  オレ、なんで年上の奴に説教なんてしているんだろう。  そう思ったんだけど、でもコイツ、危機感ってモンがまったくないんだ。  説教するのは誰でも当たり前だよな?  仁王立ちをして怒るオレに、ヘサームは気後れしたのか、苦笑いをしている。 「わかった。気をつけるよ」  本当にわかってんのか?  ジロリとにらみつければ、目を細めて笑う。  これは……ほんっとに、わかってねぇな。

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