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7.Sell~人買い
「兄ちゃんなら大丈夫だ。それより、これから話すことをよく聞け? 兄ちゃんの知り合いに、ヘサームっていう男の人がいるんだ。その人が食べ物を分けてくれるから、毎日そこに行くといい」
オレは妹のマスーメに今日会ったヘサームのことを手短に話し、地面に転がっていた手頃な木の枝を取ると、カラカラに乾ききった黄土色の土に道順を描いて説明した。
マスーメは、大きな目に涙を溜めながらも、健気に何度も頷き、話を聞いている。
これでマスーメも母さんも、オレがいなくても飢えることはない。
オレは自分を落ち着かせるため、ひとつ、息を大きく吐くと、木の枝を地面に置いた。
人買いは木の枝がオレの手から離れたのを合図にして、オレの手を強く引っ張った。
「アティファッ!!」
後ろから、母さんの掠(かす)れた声が聞こえる。
「母さん、今までありがと。マスーメ、母さんのこと、頼むぞ!!」
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