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1.Night~捕らえられて
「お頭、アンタいったい何を考えてやがるんだ? よりにもよって娘じゃなくて男の方を掻 っ攫 ってきて! 娘の方が高く売れるに決まってるじゃねぇですかっ! 俺たちは足がつく前に金蔓 をさっさと売り飛ばさなきゃならねぇんですぜ? これじゃあ、なんのために少数でチームを組んでいるのかわかったもんじゃねぇっ!!」
「お前、誰に対して口答えしてんのかわかってんのか!?」
3人いる人買い連中のひとりが唸りながら、仲間の男の首根っこを掴んだ。
あれからどれくらい歩いただろうか。
オレは人買いの所有物である証として、両手を縄で縛られ、スラム街を抜けたところの砂漠にある、移民用のテントを張っている群れの中のひとつに放り込まれた。
この群れは、一見すると移民の群れのように見える。
だけどその実態は何によるものなのかは大体の察しはつく。
借金を作った人間を金持ちに売り飛ばして稼いでいる奴らだ。
――王は、街の外にこの現状があることも知っている。
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