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14.Night~捕らえられて

「さて、俺は下の方に取りかかろうとしようか……」  頭はそう言うと、オレの腰にあるベルトを抜き取り、パンツを下ろした。  ベルトで固定していた父さんの形見であるジャンビーアが重たい音を立てて地面に落ちた。 「おっ、金がない割にいいジャンビーアを持ってるじゃねぇか」  頭はジャンビーアを拾い上げ、テントの隅っこの方へと無造作に投げた。 「っ、なにすっ、いやだっ!! それは父さんの形見だ、返せっ!!」  オレは腰を折り、ジャンビーアを取り戻すために太腿に力を入れて体を伸ばす。  だけどオレの手は後ろに縛られていて、当然、投げられたジャンビーアを持つことはできない。 「あとでアレも売り捌こう」 「返せ、返せよっ!!」  けっして届かないジャンビーア。  目の前にあるのに掴めないのが悔しい。  それでもなんとかジャンビーアを取り戻そうと体をくねった。

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