130 / 158

4.Harem~砂漠に咲く花

 オレは、去っていく凛々しい兵士たちの後ろ姿を呆然と見送っていた。 「アティファ、勝手に動くな! 危ないだろう?」 「あ~、平気平気、オレ強いから。ヘサームだって、オレの腕前知ってるだろう?」  なんたってヘサームが怪我で動けない状態で襲撃にあった時、撃退したのはオレだもんな。  だけどヘサームはそのことをよく思っていないらしい。  整った顔はしかめっ面になっている。 「わ~かったよ、気をつける。だけどさ、ヘサームはもし、オレの身に何かあったら、駆けつけてくれるだろう?」  ヘサームはオレよりもずっと背が高い。  だから必然的に、オレは上目遣いだ。  おかげで甘えるみたいになってしまった。  ……恥ずかしい。  顔を真っ赤にしているオレを、ヘサームの双眸が写し出す。 「当然だ」  オレの腰に手を回し、薄い唇がオレの口を塞ぐ。

ともだちにシェアしよう!