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4.Harem~砂漠に咲く花
オレは、去っていく凛々しい兵士たちの後ろ姿を呆然と見送っていた。
「アティファ、勝手に動くな! 危ないだろう?」
「あ~、平気平気、オレ強いから。ヘサームだって、オレの腕前知ってるだろう?」
なんたってヘサームが怪我で動けない状態で襲撃にあった時、撃退したのはオレだもんな。
だけどヘサームはそのことをよく思っていないらしい。
整った顔はしかめっ面になっている。
「わ~かったよ、気をつける。だけどさ、ヘサームはもし、オレの身に何かあったら、駆けつけてくれるだろう?」
ヘサームはオレよりもずっと背が高い。
だから必然的に、オレは上目遣いだ。
おかげで甘えるみたいになってしまった。
……恥ずかしい。
顔を真っ赤にしているオレを、ヘサームの双眸が写し出す。
「当然だ」
オレの腰に手を回し、薄い唇がオレの口を塞ぐ。
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