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3.Harem~砂漠に咲く花
「早く捕まえろぉぉおおおおおっ!!」
「……すげぇ」
ヘサームの兵って、こんなに強かったんだ……。
――ということは、オレが盗みをはたらいていた時、オレが兵士に勝っていたのって、本気じゃなかったってことだよな。
何にしても、オレは手加減されてたんだな。
一般人に本気を出さないって。
ちょっと見直したぜ、ワーリー王の兵士。
……なんてオレが思っている間にも、兵士たちは、繰り出される刃を受け止め、柄を使って相手の腹に打ち込み、ひとり、またひとりと確実に縄をかけていった。
あんなにゴミゴミしていた周りが嘘のようだ。
辺りはシン、と静まりかえり、塵ひとつすら残っていない。
「隊長、副隊長。では、私たちはこれで。引き上げるぞ!!(殺される前にっ!!)」
やって来たヘサームに敬礼をひとつすると、兵士たちはそそくさと戻っていく。
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