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5.番外編~ヘサームとワーリー王
……斯 くして、王のその時の戯れにも似た言葉が、ヘサームのその後を大きく変えることになる。
それは、ヘサームの隊が街の巡回を任された日だった。
ぎらついた太陽はいつも以上に輝き、肌を焼くような暑さの中――。
「いたぞ、盗人だ!!」
危機感を持つ兵士たちの声がさほど遠くはない街の市場から聞こえてきた。
ヘサームは、市場へと急いで駆けつけたまさにその時、人影を目にする。
「誰が待つかよ、ぶぁあかっ!!」
ふっくらとした唇から赤い舌を突き出し、追っ手から華麗に逃げる少年は、いつの日だったか、王が言ったとおりの美少女とも見まごうほどの可愛らしい少年だった。
まるで、天女が舞うごとく、軽やかな身のこなし。
「……可愛らしい」
愛くるしい彼を見た瞬間、ヘサームの胸は、初めて恋を知った少年のように高鳴ったのであった。
*えんど*
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