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ご飯担当

   10  敷波と出掛けてから2週間弱。  大学に行って配信をする、いつも通りの毎日。  だが、その生活が少しだけ変わった。  何かお礼をさせて欲しいと言ったが、一向に何も言ってこない敷波。  社交辞令的に返事をしただけで、もしかしたらお礼を受ける気などなかったのかも知れない。  ――充分ありえる。  お礼になるかわからなかったが、敷波が自炊しないと言っていたのを思い出し、筬島はご飯を持って行った。  割愛して言えば、その時美味しいと顔を綻ばせた敷波が忘れられなくて、今のところ毎日料理を届けている。  もう10日ほど経つだろうか。  一緒に食べることもあれば、ご飯を渡すだけの時もあるが、いつも敷波は嬉しそうに受け取ってくれた。  配信の終わり時間が合わないことも多いため配信前に届けることが多かったが、今日は生憎タイミングが合わず…。  今日は同期メンバーとのコラボ配信の予定があり、いつも敷波が配信するより早めの時間から始まると言っていた。  終わりもミーティングが入ったりすると何時になるか分からないと言っていたので、残念ながら今日はひとりご飯の予定だ。  敷波宅に通い始めてから初めて作る1人分のおかず。  少し多く作りすぎたのは、2人分作るのに慣れてきたせいだろう。  明日の昼にでも食べればいいと、冷蔵庫に仕舞った。 「今日の配信はここまで!今度の土曜は新人のデビューだから見てあげてね」  程よい時間で配信を切り上げる。  今週末に迫った後輩のデビュー配信の宣伝も忘れない。 [初めての後輩だ] [ユウもとうとう先輩か] 「そう、オレ先輩になっちゃうよ!大丈夫かな?」  筬島にとって初めての後輩に正直浮かれている部分はある。 [後輩からいじられそう] [いじられるだろうな] 「オレそんないじられキャラ?FPS強くてスゴい!とかじゃないの!?」 [ユウはいじられキャラよ] [いじられキャラやね] [狼谷さんからもいじられてたし] 「みんなひでぇ…」  今日も今日とて、筬島のリスナーは辛辣な愛を呟いている。 [愛されてるじゃん] [愛情表現だ] 「そうかな?リスナーは怪しいけど…まぁ、後輩みんないい子達だから優しくしてあげてね!じゃ、また明日!」  後輩にあたる11期生。  と言っても、デビューは5ヶ月程しか変わらない。  デビューにあたり紹介されたが、筬島たちと違いそれぞれの個性も活かしつつグループ活動も行っていくという事だ。  筬島達がデビューする前からその方針で動いていたようなので、10期生の不仲説が原因という訳ではない。  が、余計な憶測は呼びそうだ。  配信を閉じ動画サイトを見れば、まだ敷波はライブ中になっている。  折角なので見ながら遅い夕食を取ろうとスマホで配信を開いた。

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