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第12話 羽根と刷毛
郁がもやもやした気持ちでいると「これ、持ってきたよ」と、玩具を持ってきた。
一見すると、ホコリを取るためのハタキのような形をしている。ただし、羽根が沢山付いてモフモフしていた。
「……掃除道具みたい、ですね」
郁が笑う。
「じゃあ……郁ちゃんのこと、お掃除しちゃおうかな」
男が、笑いながら部屋へ入ってくる。ちらっと見ると、男の股間は、形を変えていて、服の上からでもそれが解った。
自分の姿を見て男が興奮するのを見るとき―――郁は、そこはかとない満足感を覚える。
「……僕は、これ、持ってきたよ」
もう一人の男は、郁に、化粧に使うブラシのようなものを見せた。ただ、その柄の部分から、コードが伸びている。
「……それは……?」
「これは……、電動の刷毛。これであちこち、されると気持ち良いと思うよ」
羽根に、刷毛。
それに、されることを考えたら、どくん、と期待に胸が跳ねる。
「郁、期待してるんだ」
「……うん……、気持ち、いい、んでしょ?」
「そうだね。きっと好きだと思うよ」
「じゃあ、羽根からいこうか。あ、俺、渡瀬ね」
渡瀬と名乗った男は、羽根で、郁の身体をそっと撫でていく。
「んんんっ……っ♥」
触れるか触れないか、そして、かすかな刺激。思わず、甘い声が出た。
「あっ、郁ちゃん、これ、好きそうだね」
さわさわ、と羽根を動かされて、「んーっ♥」と声が漏れてしまう。決定的な刺激ではないのに、気持ちが良くて、腰のあたりがざわざわする。
「っあ……っ♥ っん♥ くすぐっ……たいっ♥」
くすぐったくて、身をよじろうとしているのに、いつの間にか、煌也や他の男たちに身体を固定されている。
鏡に移る郁は、真っ赤な顔をして、とろんとした表情で、柔らかな羽根の刺激で身もだえていた。口の端から、飲み干せなかった唾液が伝っていて、それが、鎖骨の方まで降りている。
「っあ……っ、わた、せ、さ……、あ♥ それ、、きもち……♥」
「郁ちゃん、こっちもしてみよっか。……僕は横川ね。……郁ちゃん、首とか、どう?」
電動の刷毛に電源が入った。低くてかすかなモーター音が響いている。
次第に、近付いてくるのが解る。それが、首に触れたとき、びくん、と郁の背が反り返った。
「あっ………っ♥」
「……郁ちゃん、そこ、スキなんだね。……彼氏にして貰ってるとき、すっごく気持ち良さそうにしてるもんね、首……」
振動する刷毛の感触は、羽根とは、また違っていた。
さわさわとするだけでは無くて、勝手に振動している。ただ触れているだけの羽根とは、刺激が、段違いだった。
「あっ、あっ……っあっ……っ♥ ふっ……っあ♥ ……っんんんっ♥」
今まで、直接ナカを弄られていたのとは、全く違う感覚だった。
くすぐったいのと、気持ちが良いのが一気に来て、耐えがたい。身をよじって抵抗したいのに、身体は押さえつけられている。あっという間に、絶頂感が来る。なのに、決定的な刺激までには達していなくて、感度が高いまま、ゆるい刺激だけが、延々と与え続けられる感じだった。
「あっ♥ あっ、あっ……っ♥ も……っ♥ あ♥ んんっ♥ あっん……っ♥」
「郁ちゃん、うしろ……もの欲しそうにしてるね」
耳元に、横川の声がする。
「っ……っ」
鏡に写る郁のアナルは、もの欲しそうに、ヒクヒクと動いている。
前から滴った粘液が、そこを濡らしているので、怪しい水生動物のような趣さえあった。
「っ……っあっ♥ ……み、ちゃ……ダメ……♥」
「郁ちゃん、見られて興奮するのに、嘘つきだねぇ……」
渡瀬が、耳元に囁く。耳に、吐息を掛けられて、「ひゃっ♥」と声が出てしまった。
「郁ちゃん……、腰、勝手に動いちゃってる。やらし♥」
「……胸のほう、電源入れたら、すぐイッちゃいそうだね」
「……後ろも、なにか入れたら、トコロテンしちゃうんじゃないの……?」
耳元に、どちらともなく囁かれる。
「あー……煌也くんが許してくれるなら、郁ちゃん後ろにブチこみたいなあ……」
「僕も、郁ちゃんのナカに入ってみたい。奥まで、ズコズコ突いて上げる……たまには、彼氏以外ので、してみたいでしょ……? ここにいる男たち、みーんな、郁ちゃんとしたいのに……」
顔が、身体が、燃えそうに熱い。
皆に……代わる代わる犯されたら……。
煌也は、今、それを許さないが……、もしするとしたら……。
(あっ、なんて、煌也って……、俺が他の男と、セックスするの、イヤなんだろ)
「っんあっ、あっ♥ あっ、も……♥ あっ……っ♥」
プレイメイト、というなら、自由にこういうことをしても良いはずだ。
煌也の独占欲みたいなものが、働いているのだろうか思ったら、それは、少し、嬉しいような気がした。
刷毛と、羽根で攻められて、朦朧としながら、郁は、煌也をチラリと見た。
「どうしたの郁」
煌也が、ゆっくりとキスをしてくる。舌を絡み合わせながらする、濃密なキスに、腰が甘く震えて、頭の中が痺れるような感覚がした。
(ん……煌也のキス……凄い、好き……♥)
夢中になってキスをしていると、唐突に、胸に、刺激が走った。
(んんんんっ♥)
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モブ紹介
渡瀬----羽根を持ってきた男/一人称・俺/中肉中背
横川----電動刷毛を持ってきた男/一人称・僕/かなり痩せてる
筑紫----胸のローターを手伝ってくれた男。/一人称・俺
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