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第30話 独占欲

「あの子、行っちゃったね」  煌也が耳元に囁いてきて、郁は、一瞬、堕ちた意識が急速に引き戻されるのを感じた。  視線を動かすのも億劫だったが、店の方を見やると、明利の姿が見えた。もう、郁のコトを見なくても良いらしい。 「ん……♥ こ、や……♥」 「……なに?」 「あの子のこと……、見ちゃ、……ダメ♥」  郁が甘く強請るのを、煌也は満足そうに笑う。 「いいよ。俺も……郁が、他の男とするなんて、絶対に嫌だからね……」 「……嫉妬……?」 「いいや、独占欲」  煌也は笑いながら、キスをしてくる。くちゅくちゅと、濡れた水音を立てながら、繰り返されるキス。  だんだん、意識がはっきりしてくるが、また、甘い快楽が与えられて、夢中になってしまう。 「……なにそれ。……嫉妬と同じでしょ? あっ……♥」 「ちょっと違うよ。……嫉妬は、他に相手が必要だけど……独占欲は、郁だけ、全部まるごと、俺のモノにしておきたいって言うだけだから」  その無邪気な言い方には、他意はなさそうだった。  そして―――本気の執着のようなものも、見え隠れしないから、郁は、おとなしく、煌也の言葉に「変なの」とだけ答えて、笑うことが出来た。 「……変じゃないよ……。俺は……、郁が、他の男に悦ばされてると思ったら、気がおかしくなりそうだからね」  恋人でもないのに、と郁は思う。 「だから、郁……。ここは、他の男に使わせないでね」  そう言いながら、煌也は、ゆっくりと腰を進める。 「あっ♥」  また、訪れた快感に、声が漏れて、身体が、びくっと跳ねる。 「……あっ……♥ 煌也……っ♥ も、イッた、ばっか……なのに……っ♥」  煌也は、まだ、硬度を失っていなかった。そして、その剛直が、ぐい、と奥の方まで穿つ。 「あー……♥」 「……郁、気持ちよさそう……。ああ、心配だから、……貞操帯とか、使いたくなるよなあ……」 「っ……っ」 「……まあ、……今は、まだ、しないよ」  今は、ということは、煌也の中には、いずれそう言うことを―――貞操帯を付けて、郁を縛り付けるような事を、考える余地があるということだ。 「……郁は……どう、楽しみ……? 他の男の棒でも良い? ……もう、店内、棒祭りみたいだから、いくらでも郁としたい棒はあるよ……?」  郁は、どきっと胸が跳ねた。  視界は、ぼんやりしていて、なにがなんだか、解らない。 「……っん♥ あああっ♥」  けれど、他の男の性器で……奥を、煌也にされるように、突かれるのは……、少しイヤだった。 「……仕方がないな。じゃあ……」  煌也は、周りを見回す。 「郁は、精液好き……?」 「えっ……?」 「ここ」と言いながら、郁の腹から性器、アナルまでを、ゆっくりと、撫でる。 「あっあっ……」 「……郁のコトを見て、興奮して、皆、精液、たっぷり出したいんだよ……。郁の身体の上に出して貰おうか……?」  煌也が甘く囁く。 「あっ。郁ちゃん、俺、郁ちゃんにぶっかけだけでも十分だよ」 「ああ、俺も郁ちゃんにぶっかけたい……」 「きっと、すっごいエロいと思うよ」 「郁ちゃん、精液って、美容に良いから、ちょっと、皆で掛けてあげるよ♥」  ギャラリーたちが、一斉に、声を掛ける。 「郁、どうする……?」  いったい、どういう状態になるのか、想像も付かなかった。  ただ……、皆が期待しているというのは解った。 「うん……ちょっと、興味……ある……」  煌也が、郁からずるり、と抜け出す。 「あっ♥」  途端に後ろが物足りなくなるが、そこへ、バイブレーターが差し込まれて、電源が入る。十分にほぐされていて、バイブレーターは、つるんっと、抵抗なく入った。 「あっ……っ♥ あっ……っ♥」 「すご、郁ちゃん……あのバイブ、一気に奥まで行ったぜ」 「あっ………んんんんんん♥」  十分な太さを持つバイブレーターが、奥の方で、内部をトントンと叩いたり、振動したりしている。 「あっ……っ……♥ あああ……♥」 「さ、郁……。みんなに……『ここに、みんなの精液を掛けてください』って、おねだりしてごらん」  煌也が甘く囁く。  いつのまにか、煌也は郁を背中側から抱くようにして、皆に郁の性器とアナルが見えるように脚を広げさせていた。 「ほら、郁ちゃん……俺の、濃いヤツあげるよ」 「俺のもあげるからね」  男たちが、次々と、性器をしごいて郁の腹に精液を掛けていく。  ぬるくて粘度の高い液体が、腹や胸の上に出されて、それが、重力に従って、ゆるゆると堕ちていく。 「あっ……んんん♥」  郁の腹は、白濁したどろっとした液体で汚れて、ぐちゃぐちゃだった。 「あ……♥ すご……どろどろ♥」 「凄いね、郁……」 「うん……♥ ナカも……、外も、どろどろ♥ 凄い♥」  郁は、後ろに顔を向ける。後ろから抱きしめられたままの体勢で、郁は煌也にキスをした。  全身が、汚れていても、構わずに……。  男たちの精液は、ベッドにしたたって、合皮が貼られたベッドを汚していった……。

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