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第21話

 心臓は動いてる。  トクントクン  左胸が脈打っている。体温もある。暖かい。 (だから俺は死んでいない)  生きている筈。  ……筈なんだけど〜 「フフフ」  なぜ執事さんは何も言ってくれないんだ?  言ってくれないと不安だ。 「生きてるんですよね?」  すーはー  すーはー  呼吸だって、ちゃんとできているから死んではいない筈。  しかし実のところ、死んで生き返った事がないから今一不安だ。  すーはー  息してるんだけど。  すーはー  すっ! 「うきゃー」  呼吸が悲鳴に取って代わる。  なんでっ?  ぎゅむ!  逞しい両腕に閉じ込められている。 「また心拍数が上がりましたね」 「だって」  突然抱きしめられて、ドキドキしない方が変だ。 「それは私のせいでしょうか?」  だって……の続きが言えない。見上げたら美形が触れてしまえるほど間近にある。俺の心臓、絶対、超新星爆発起こす。 「答えて頂けませんか?」 「それは……俺が生きてるかどうか答えてくれたら答えます」 「なるほど、そうきましたか」  いいぞ、俺。初めて優位に立った。 「そうです!答えて下さい。俺がにゃんと生きてるか〜……」  ……って、どうして!  なんで大事な時に、ここぞというタイミングで噛んじゃうんだ〜♠ 「フフ、はい。では、お答え致しますね」  執事さんに笑われてしまった…… 「但し、大きな声でのお伝えははばかられますので、このまま失礼致します」  ぎゅ  体と体が密着する。  どうしよう。  超新星爆発起こしそう。

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