38 / 172

第38話

「城内勤務者として、多少はお役に立てるかと」 「ありがとうございます!ゼフィルさんに手伝ってもらえて、心強いです」 「では、契約成立という事で。宜しくお願い致します。ですが、余り期待しないで下さいね。私はしがない社畜ですので」 「宜しくお願いします」  ガシっ  握手を交わした。  思いもよらぬ援軍だ。 「早速で恐縮てすが、ヒイロ様にお手伝い頂きたい事があるのですが」 「何でも言って下さい」  ゼフィルさんが協力してくれるんだ。俺もできる事を頑張ろう。 「そう仰って頂けますと助かります。既にご用意しておりますので、まずはお部屋へ」  そうして通された控えの間。 「なに、これーッ!?」  美しい調度品の数々  きれいな絵画  繊細な紋様の掘られた壺に生けられた赤い薔薇の花束  アンティークの家具  まさに貴賓室といえる豪奢な部屋に不釣り合いなそれは、正面のテーブルに置かれている。  テーブルはアフタヌーンティーを置いてもまだ余裕があるであろうというサイズであるにも関わらず。 (崩れ落ちそうだ……)  今にも床に落ちそうである。  無造作に……  否。  元々はきれいに積み上げられていたのであろう。  されど量が量なのだ。  最早、乱雑に積まれているとしか言い様がない。 「ゼフィルさん。俺はテーブルを掃除すればいいのでしょうか……」

ともだちにシェアしよう!