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第50話
「ふひん」
いいんだ、俺は礼儀知らずの勇者様で。
これは明らかな公然猥褻罪ではないか。
秘部をお見合い写真に混ぜたりして。
(いや、待て)
たまたま、俺が変なお見合い写真を引いてしまったのではないか?
これだけ山積みのお見合い写真だ。
冷やかしや、愉快犯で、変な写真を混ぜてきた貴族がいるのかも知れない。
現にこの局部お見合い写真を見つけるまでは、皆、美しく優雅で逞しい貴族達(♂)ばかりだったではないか。
そうだよ!
運悪く引いてしまった変なお見合い写真に乗っかって、ゼフィルさんが悪ふざけしてるんだ。
気品ある貴族が、己が局部をひけらかす筈がない!
「ふっひー!」
「また興奮なさって。どーどー」
だから俺は怒ってるんだってば。
「ひとまず落ち着きましょう。深呼吸しましょうか。はい、すーはー」
「すーはー」
「すーはー」
「すーはー」
「すっすっはー」
「すっすっはー」
「ひっひっふー」
「ひっひっふー」
「よくできました。それでヒイロ様、濡れてしまいましたか?」
「違うわッ」
「下着のお召替えは必要なし……と。」
「……」
「では如何なさいましたか?」
「さっきのお見合い写真の、ち」
「ち?」
「……んこ」
「んこ?」
「ちん!」
「んこ……ちん?名古屋コーチン?」
「ちゃうわ!」
異世界にも名古屋コーチンあるのか?
「そうじゃなくって。チソ………………コです」
「チソ……コ。あぁ、チンコ!」
「それ!」
「で。ちんこがどうなさいましたか」
「からかわれているだけじゃないんですか」
「滅相もない」
ブンブンとゼフィルさんは首を振った。
「皆様、本気ですからね。自慢のちんこ写真も添えておいでです」
(自慢♠)
猥褻物を自慢しないでほしい。
「ニューンブル伯爵のご令息の写真は普通でしょう」
「あぁ、あれ。この辺りに落ちてないでしょうか……ありました。お見合い写真は通常、袋とじになっておりまして」
…………………………へ?
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