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第62話

 結婚しなければ死刑  死刑を免れたければ、麗しき貴族令息と結婚するしか道はない……  世界を救った勇者が、貴族(♂)と結婚しなければ死刑って、どういう事だ?  いくら異世界といったって、この法則は間違っているぞ! (美形きょ……きょこん貴族と結婚)  しかも、結婚したら俺は受け様にならなくてはいけない。  『世界を救った勇者は受け様に覚醒(めざ)めました。』  ……そんなラノベみたいなタイトルの生涯イヤだ。 「いつからBLスキルが追加されたんだァッ」 「それ、勇者様のスキルではありませんよ」 「でも」 「びーえるというものが何かよく分かりませんが。受け様はスキルではなく、勇者様の特性です。平たく言えば、影が薄いと同系統。自分ではどうしようもないやつです」 「つまり、それは……」 「はい。勇者様は、生まれ持っての受け様気質です」  ガーン 「生まれ持っての攻め様気質の貴族様が、本能で勇者様の受け様気質を見抜いて、猛アピールされている……というのが現状ですね」  ガガガガーン 「メス堕ちコース確定です」  『世界を救った勇者は、あれよあれよとメス堕ちしました。(♥)』  ……そんなラノベみたいなタイトルの生涯イヤだ〜! 「何とかならないんですかっ」 「お幸せになって下さい」 「答えになってません!」  このままでは、BLメス堕ち勇者として伝説になってしまう。  中学校の教科書に『勇者ヒイロは魔王討伐後、美形きょこん貴族と結婚し、メス堕ちして幸せに暮らしました。』と、欄外の注釈に書かれたらどうしよう? 「とにかく何とかして下さい!」  ………………って。  あれ? 「いない!」

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