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第71話

 視界が暗転した。  刹那、網膜に光が差す。  眩しさに目を伏せた。  瞼の裏、光の輪がクルクル廻って広がっていく。  さわさわと空気の振動が鼓膜にそよいだ。  そして、静寂…… 「ここは?」  息を一つ吐いて、ゆっくり瞼を持ち上げた。 「………………勇者様」  声が聞こえた。  ……勇者様。  勇者様……  勇者様。  小さな波紋が水面を揺らし、さざ波が揺れ動くように。  声がさわさわ広がっていく。 「勇者様、ご帰還バンザーイ!」  ウオオォォオオオーーー!!  大喝采が広間を揺るがす。 「魔王討伐おめでとうございます!」 「よくぞご無事で!」 「無事で良かった!良かったです! 」 「お待ちしておりました!」 「ありがとうございます!」  皆からの歓喜の声援が飛び交う。  カッ  カッ  カッ  金属質の音が広間に響く。誰からともなく、右手に握る長槍の柄を床に打ち付け始めた。  ダッ、ダッ、ダッ、ダッ  ダッ、ダッ、ダッ、ダッ  左足でリズムを取って、足踏みする。  王国騎士団のセレモニー  最大の歓迎と、最高の敬意と喜びを表している。  カッカッカッカッ  ダッダッダッダッ  カッカッカッカッ  ダッダッダッダッ  ありがとう。皆、ありがとう。  俺を待っててくれて、ありがとう。  一緒に喜んでくれて、ありがとう。 「ありがとうございます!!」  ウオオォォゥオオオーーーッ!!

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