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第85話

 キャアアアァアアー!!  俺、てっきり王様がお兄様って呼ばれたいんだと思って。  ……って、実際呼ばれたいみたいなんだけど。  でも、そういう意味で言ったんじゃアァー!! 「王様!」 「お兄様だよ」 「ですから王様!」 「王様じゃない。お兄様だ」  ゾクッ  何なんだ、この威圧感。  威圧感の無駄遣いだ。 「王さ……」 「お兄様!」 「…………………………お兄様」 「なんだい♪ヒイロ♪」 (なに?このウキウキオーラ)  仮面の下、王さ…… 「お兄様だよ」  ……お兄様が、目を細めているのが手に取るように分かってしまう。 「……おにぃ……様」 「そう呼んでもらえるのは嬉しいよ。なんだい?私の麗しき勇者」  うっ、このノリどこかであったような〜  ついちょっと前に…… (確か〜) 「……私意外の男の事を考えている顔だ」 「ひっ」  息を飲んだ。 「いけないよ。君は私だけの可愛い勇者なのだからね」 「王さ……」 「お兄様だよ」  すっと近づいてきた仮面の下の眼差しが首筋に触れた。 「私の事だけを考えて、お兄様と呼びなさい」

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