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第123話

「分かりました」  お兄様の判断を信じる。  今はそれが最善だ。 「ありがとう。さて……」  フッと短く息をついた。 「『都崩れ』は何人だ」 「一人です」  すぐさま兵士が答えた。 「ほう……単身乗り込んでくるとは」  少人数であろうとは予想していたが、一人?  わずか一人で暴挙を働いて、どういうつもりなんだろう。 「援軍を潜ませている気配は?」 「ありません」  ほんとうに一人なんだ。  たった一人で、城の屈強な兵士に怪我を負わせるなんて。 (上位魔族だと考えて間違いない) 「大体読めたよ。その『都崩れ』は何と名乗った?」 「はっ。『相国(ショウコク)』と……」 「西国(さいごく)か」  西の最果て  アルファング王国から辺境の地と呼ばれるガルディン 「大臣だ。それもほかの大臣達、政務官を取り仕切る最高位の…… 君主はいるが、傀儡だ。国の実権を握るのが相国。実質の支配者と言っていい」  耳打ちしたリッツの声は低い。 「野望のためなら何でもする。国の掌握のために、前君主を暗殺したという噂まである」  強欲の翳(かげ) 《マモンズシャッテン》 「俺達はその男を、そう呼んでいる」

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