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第152話

 プライドは捨てた。  そうじゃない。  個々の力で戦い、個が敵を打ち倒すのがプライドじゃない。  次に繋ぐ。  決して折れぬ思いこそがプライド。  次に繋ぐ戦いこそが、アルファング騎士団の誇りだ。 「我が君主(きみ)を絶対死守!」  隊長が号令する。  最初に前に出ていた一人の騎士が正面に立ち、彼の後ろに三人が付く。 「回復《ヒール》」  連携で効果を増した魔法がお兄様に届いた。  血が止まった。  蛇に噛まれた傷痕が消えていく。 「解呪+《ディスペリオン》」  続く三人の連携。魔法の掛け合わせる事でより、効果が高まる。 「法印始動!」  空に描いた三つの三角の軌跡が重なって、北条三ツ鱗紋に似た印を形成する。  一人が唱える解呪より、ずっと強力だ。  照射される青光がレーザーとなって、黒い蛇を薙ぎ払う。 「騎士団、出るぞ!」 「オオォオオオー!!」  大号令が上がった。 「紫狼隊、白鷲隊、散開!」 「Alles klar!(アレスクラー=了解)」  両隊が左右に広がり、陣を構えた。 「朱獅子隊、中央へ布陣!」 「Alles klar!」  ザッ  硬質の靴音が響き、槍を構える。  ボッ  槍の穂先に深紅の火が宿る。

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