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第161話
バリィッ
結界が割れた。
「今だ!」
間髪入れず、朱獅子隊隊長と副隊長が火種の槍を投げ入れる。
絶対神域で炎は鎮火されたが、目眩ましにはなった筈。
「投擲用意」
白鷲隊隊長の号令がかかる。
騎士達が槍を拾い上げて構えた。
「テェーッ!」
一面の槍の雨が襲う。
相国が翼を閉じた。だが容赦なく、槍の雨は相国に降る。
一本、二本、そして数十本もの槍が羽ごと相国を貫く。
「ニ擲用意」
第二波の槍を騎士達が構えた。
「テェーッ!」
槍が相国に降る。
最早、この槍の雨は避けられない。
朱獅子隊の放った火種の槍が復活する。
「絶対神域が解けたぞ」
「ウォオオオー!」
床に落ちた槍から青い炎がほとばしった。
「違う!」
ハッとして朱獅子隊隊長が声を上げた。
「あの炎の色は、我らの色とは違うッ」
朱獅子隊の炎の色は、赤
槍に灯った炎は、青
運命はかけ違えた。
かけ違えた運命は、絶望へ反転する。
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