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第167話
羽、舞う……
落ちる。
「貴様……」
白い羽が床に漂着した。
「何をした?」
(攻撃が通った……)
傷を負わせるには至っていない。羽が数枚散っただけだ。でも……
絶対神域の中では、魔法及び《スキル》が一切封じられる。使えるのは、術者である相国だけだ。
純粋な剣技だから?
だけど剣技だけで、あそこまでの風圧が起こせるのだろうか。
相国に届く疾風を起こし、白鷲隊隊長を絶対神域の及ばない安全圏まで吹っ飛ばすほどの剣圧が?
「所詮、哺乳類だ」
「は?」
相国が目をすがめた。
「ハーピィ……上位魔族を人間の分類に貶めるのは冒涜だ。頭を打ったか、それとも恐怖でまともな思考もできんか」
だが……
「可哀想とは思わん。羽虫に知性は微塵も期待していない」
「黙れ、哺乳類」
斜に構えた眼差しが相国を射た。
「ヒト型哺乳類の形態である以上、哺乳類の強さは超えられない」
「何の話だ……とでも聞いてほしいか?残念だったな。羽虫の知性では、問答に値せん」
「黙れと言った。哺乳類!」
………………えっ?
(俺、見えなかった)
勇者なのに、リッツの剣筋なにも……
しかし、その剣圧は疾風を起こし薙ぎ走った。
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