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第6話 あれから

 あれから一年が経った。  咲良との生活は実に快適である。  栄養と筋肉のことを考えたバランスいい食事はとても美味しい。  毎日弁当も作ってもらい、休憩室では同僚たちから注目の的だ。  初日に彼女からかと聞かれたが、正直に同居している男性からだと答えれば「凄い」の大合唱だった。  それからは弁当の中身を参考に料理を作る同僚たちが増えたため、レシピを咲良に教えてもらい、それをメモして同僚たちにスマホで撮らせている。    咲良からアドバイスを受けながらの筋トレやストレッチはとても勉強になる。  自分で組み立てる筋トレメニューとは異なり、筋肉がバランス良く付くように考えられている。  週二回ずつの筋トレとストレッチ、有酸素運動は咲良と一緒にするのだが、これがまた良いのだ。  姿勢、体勢の指摘を受けて直せば、ちゃんと筋肉に効いているのがわかる。  元々綺麗に付いていた筋肉だが、よりキレがあるようになったと思う。    また、咲良から受けるマッサージは最高だ。  筋トレのクールダウン後に受けると、全身から力が抜ける。  週一で入れている休息日には全身をじっくりと解されてまるで天国にいるようだった。  その代わり、掃除洗濯は大河の仕事だった。  元々一人暮らしをしていたため、家事は習慣化しているし苦痛ではない。  隅から隅まで綺麗にしたくなる性分で、頻繁に小掃除をすれば家は常に快適だった。  これは咲良も喜んでくれた。  最初こそ咲良の乱暴とも言える口調に戸惑いはしたものの、今ではすっかり慣れた。  それに合わせて大河も敬語を外し、彼とは気の置けない関係になった。  咲良は大河の筋肉とちんこにしか興味のないと思っていたが、甲斐甲斐しく世話をされ、楽しく酒盛りをし話をしていれば、嫌でも彼の気持ちがわかる。  大河がそれに気付いたのはごく最近のことだが、彼の気持ちがいつからそうなのかはわからない。  あるいは、あの始まりの日に告げられた好意は本物だったのかもしれない。  どちらにしろ、咲良は大河が好きなのだ。  対する大河といえば、咲良の気持ちを理解してから急速に、いや、崖から落ちる勢いで咲良に傾いていった。  咲良は格好良く、何においてもハイスペックだ。  その上で大河に尽くし、時には甘えたり拗ねたりして大河を翻弄する。  魅力的な彼に夢中なことを、大河は嫌でも自覚していた。  そんな二人だが、好きと言い合ったわけでも付き合いを始めたわけでもない。  けじめは大事だが、言葉がなくとも二人は通じ合っている。  この一年で大河と咲良はすっかり家族になっており、毎夜愛を交わしていた。  キングサイズのベッドは丈夫で、大柄な二人が飛んだり跳ねたりしてもびくともしない。  行為中に聞こえるのは二人の淫らな声と結合部から響く水音、そして衣擦れの音だけだ。   「奥届いてねえぞ? お前のちんぽはそんなもんじゃねえだろ!」 「焦らしてたんだよ。ほら奥が疼いてしょうがないんでしょ? ここ、突かれたい?」  あえて浅いところばかりを擦り、前立腺を避けて腰を揺らしていたが、咲良からの催促を受けて奥にゆっくりと挿入した。  壁に当たるとそのまま動きを止め、媚肉の収縮だけで快感を追う。   「ッ童貞が一丁前に俺を煽るのか?」 「もう童貞じゃないし、俺をこうしたの、咲良だから、な!」  焦れているのに余裕なふりをしている咲良を乱したくて、大河は腰をギリギリまで引くと、その猛りで咲良の奥を勢いよく穿った。   「お、っぐう⁉︎」  そして、大河の腰と山下の尻がぶつかり乾いた音が絶え間なく響き始めた。   「咲良、前立腺より奥がいいんだもんな。ほら、こうして、奥トントンされるのが好きだよな」  咲良と体を重ねるたび、大河は彼にセックスを教えてもらった。  持ち前の運動神経でセックスは咲良好みに上達し、早いうちからセックス中に余裕が出てきた。  そして、彼のイイところを何箇所も見つけてきた。  その中でも咲良が一番いい反応をするのはアナルの最奥だった。  大河の長く太いペニスで突き続けると固く閉ざされた蕾が綻び、大河をすべて受け入れてくれる。  山下は体格がいいためその分直腸も長く、そこを明け渡せる男には出会ったことがなかったそうだ。  散々ガチムチの男を食い荒らしてきた彼だが、最奥だけは大河だけのものだった。   「くっ……上等だ。俺を喰おうなんて百年早えぞ」  咲良は半ば蕩けた顔をしているのに、まだ強情を張って強気な眼差しで大河を射抜く。  ああ、なんて愚かで可愛らしいのだろう。  これから彼は最奥を抜かれて前後不覚になり、嬌声を上げて大河の名前を何度も叫ぶ。  そして、涙と鼻水と涎で顔はびちょびちょになり、全身の筋肉を痙攣させ、大河の唇に必死に吸い付きながら絶頂するのだ。   「本当がどうか、試させて」 「ああ、いいぜ?」  大河は咲良に後頭部を掴まれ強引に引き寄せられた。  重なる唇はいつもより熱い。  挑発的に唇を舐められれば、大河の嗜虐心に火が点いて業火のごとく燃え上がった。  大河はその赤い唇に噛みつき、咲良の中をぐちゃぐちゃに掻き回し始めた。  奥を突く度に咲良の喘ぎが漏れるが、溢れるそばからすべて丸飲みにした。 「んッぐ……んんッォあ、あ、大河ぁ、あ……!」  余裕がなくなってきた咲良は大河の名前を叫ぶ。  さあ、そろそろ奥が開く頃合いだ。  その時に見られる痴態を想像しながら、大河は貪欲に咲良を貪った。

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