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第5話 反撃開始

「クソッ……!」  欲望に屈した大河は悪態を吐き捨てると、山下の太ももを力任せに掴んでさらに割り開き、興奮しきってドクドクと脈打つ怒張を山下のいやらしい後孔にズブリと突き入れた。 「おぐッ……アぁ……ッ!」  奥まで一気に押し込んだというのに、山下のアナルはいとも簡単に大河を飲み込み、あまつさえ喜ぶように大河の剛直に吸い付いた。  再び触れた山下の中は蕩けるようだ。  入口付近は締め付けがきついが、奥はふわふわとした肉壺が大河を包み込みつつぎゅっとしがみついて離れない。    まさに名器だ。  童貞の大河が上手く扱える代物ではない。  大河は肉欲に身を任せて滅茶苦茶に腰を振り始めた。   「はっ……ははッ、いいぜ! もっとだっ……もっと激しく!」  欲望のまま力任せに腰を振ればバヂュッビチュッ……と激しく淫な音が耳を犯す。  大河はすっかり山下の体に夢中だった。  それに対して山下はいつまで経っても余裕なままだ。  セックスは受け入れる側の負担が大きいはず。  だというのに、山下はにやけた顔を崩さず大河の与える刺激が弱いと隠しもせずもっとと声を上げるし、クッションにしがみついて衝撃を受け流しつつ両足を大河の体に巻きつけて引き寄せている。  それが悔しかった。    山下の顔をぐちゃぐちゃに歪めたい。  彼に煽られて情欲に支配されていたが、次第に頭は冷静を取り戻し始める。  大河は少しずつ腰を突き上げる角度を変えてみた。  すると、腹側の浅いところにあるコリコリとしたところが気持ちいいことがわかった。  デリヘルを検索した時に性感マッサージ店も検索候補に出てきたことがある。  そのホームページで読んだ男のイイところ――前立腺――だ。 「おあッ……⁉︎」  流石の山下もそこを刺激されれば堪らないらしい。  裏返った声は彼の余裕のなさを明確に教えてくれた。  大河は持ち前の勘と高い身体能力を駆使して前立腺を擦り上げ、押し潰し、同時に山下の奥の壁をガツガツと突いた。   「いい子、だ……! そこっ……そこもっと……んぐッ、あァ……もっとそこ、突け!」  山下は喘ぎながら、それでも余裕を保とうと必死に大河をリードするように命令する。  だが、いくら虚勢を張ろうともその瞳が物語っていた。  並行な眉はハの字になり、眉間には悩ましげな皺が寄っている。  潤んだ瞳はギラついた欲望に光りながらも、犯される悦びを写していた。    大河は蕩け始めた山下の顔に興奮したが、今度は理性を飛ばさないように唇を噛み締めた。  せっかく山下を陥落できそうな状況で、また童貞丸出しの余裕のないセックスをして主導権を握られたくない。  大河はひたすら山下の前立腺を捏ねくり回した。 「おふっ……く、……んんッ!」 「大河ッ……もっと、お前をっくれぇ……!」  山下の声が段々掠れて僅かばかり高くなっていく。  絶頂が近いのか、山下の中はグネグネと蠕動して大河を食い千切ろうしてくる。  それが堪らなく気持ちいい!  セックスは受け身側が気持ち良ければ良いほど、それが入れている側に快楽をもたらすことを知った。  大河はラストスパートとばかりに腰の動きを早めると、ようやく山下は悲鳴を上げた。 「ああッ……あ、ぐ、だめだっイクッイクッ……大河ぁああッ!」 「うわっ……ううっ……イッ……!」  山下が白濁を撒き散らすと同時、その蜜壺がギュゥッ……と痙攣しながら締め付けてきた。  今までの比ではないそれに大河は耐えられず、山下の中に欲望の証を大量に吐き出した。  ゆるゆると腰を揺らして精子を出し切ると、全身汗まみれにも構わず山下の上に倒れ込んだ。  射精した体が怠く重い。  山下の荒い息が肩口に掛かる。  どうやら彼も倦怠感に包まれているようだった。  息が整うと、大河は山下の隣にゴロンと寝転んだ。  床が体の火照りを冷やしてくれて気持ちがいい。  深く深呼吸をしていると、山下は寝返りを打って大河がいる右の方へ体を向ける。  頭を右手で支えて大河を見下ろすと、鼻でひとつ笑って大河のツンツンとした黒髪を弄ぶように撫で始めた。 「大河。お前、どこに出勤してんだ?」 「え? っと……ありあけ空港です」 「お、ここは家との中間地点か」 「そうですけど……」  一瞬、なぜ山下が住所を知っているのか疑問に思ったが、よく考えてみれば診察のために提出した保険証やカウンセリング票に住所を書いている。  知っていて当然なのだが、激しいセックスの後に勤務先も聞かれるのはなぜなのだろうか。  大河は首を傾げて山下の顔を仰ぎ見ると、山下はさらりと突拍子もないことを言い出した。   「今日からここに住め」 「は……? え、はぁ……⁉︎」  一拍の後、大河は勢いよく起き上がって山下を凝視した。  山下の言葉が理解できない。  いや、日本語は耳に入ってきている。  その真意がわからないのだ。  山下は唖然呆然としている大河を見てくつくつと喉で笑うと、にんまりと口元に弧を描いた。   「お前が好みだって言ったろ? お前自身もその筋肉も俺が責任持って育ててやるからな」 「えっと……」 「いいだろ? 筋トレもマッサージもしてもらえて、美味い飯だって食える。ここの家賃は安いからそれはいらねぇ。光熱費だけでいい。それに……」  山下は戸惑う大河に擦り寄ると、耳元でそっと息を吹き込んだ。   「気持ちいいこと、いっぱいできるぜ?」  疑問はいくつもある。  山下の豹変は一体どういうことなのか。  大河が好みだというのは筋肉だけのことなのか。  自分の気持ちもわからないまま、この誘いに乗ってもいいのか。  だが、山下の蠱惑な囁きに惑わされ、大河はこくりと頷いた。  すると、山下は大河に唇を寄せてキスをしてきた。  触れるだけのキスではない。  さっきまでのセックスを彷彿とさせる濃厚でエロティックなキスだ。  唇を食んできつく吸われ、大きく分厚い舌で口内を舐めまわされれば、大人しくなったはずの暴君がむくむくと起き上がった。 「ははっ元気だな」  指摘されて大河は赤面した。  キスだけで勃ったのは山下のせいだ。  大河が悪いのではない。  だが結局罰が悪いことには変わりなくそっぽを向いた。  山下が笑う声が聞こえる。  その手は大河の前に移動し、それにつられて顔を上げると、山下がまた大河を受け入れようと後孔と剛直をキスさせていた。  あれだけ激しく交じり合ったというのにまだヤるのか。 「せっかくだ。朝まで楽しもうぜ」  山下はズブリと腰を落とした。  一気に奥まで入って、すぐに腰が浮いてまた奥まで飲み込む。  中は大河が出した精液で滑っていて、さっきよりも気持ちいい。  揺れる山下の怒張もバキバキに勃ち上がってぶるんぶるんと揺れている。  視覚的にもエロい。  その快楽に抗えず、大河と山下の長い夜が始まった。

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