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第4話 目が覚めると
腰に広がる快感は知っているものだ。
何かが腰を跨いで灼熱をもたらす。
寝ている体が上下に揺れていて、その下の何かがギッギッと音を立てている。
「んあ……はっ、気持ち、いいッ……大河、早く起きねぇ、かな……っん」
濡れた声が真上から聞こえ、そこでようやく大河の意識が引き上げられた。
瞼を上げると、信じられない光景が飛び込んできた。
「はっ……え……? んっ……おッ⁉︎」
ソファの上に足をはみ出して寝ている大河の上には山下が乗っていた。
彼のいつもの優しげな垂れ目は勝ち気に見開かれ、熱を帯びた瞳は恍惚を湛えている。
頬を上気させ、舌なめずりをしたその唇はテラテラと濡れて艶かしい。
流石整骨院の院長と言うべきか、男らしくバランスよく筋肉がついた体は汗が滲んで興奮度合いを教えてくれた。
だが、そんな痴態よりも目を引いたのは濃い茂みからそそり立つ雄々しい昂りだ。
血管が浮き出て充血しているが、色は綺麗な桃色で可愛らしい。
巨根の部類に入るだろうその猛りは、山下の動きに合わせてぶるんぶるんと先走りを飛び散らせながら揺れている。
そんな立派なモノがあるというのに、なぜか山下のむっちりとした尻の中に大河の愚息が突き刺さっている。
大河のそれは体格に見合って山下と同じく巨根だ。
通常時でも右手で輪っかを作っても親指と中指がつかないほど太く、拳を二つ並べても余りがある。
勃起時は当然のことながら通常時より大きくなり、亀頭が赤黒く充血して張り出した傘はそれなりの段差を作る。
学生の時も社会人になってからも、社員旅行などで人前で裸になると必ず注目の的になる。
酒に酔って悪ふざけを始めた同僚からは、どこからか取り出したメジャーで長さや直径を測られ、その記録に拍手喝采を浴びたくらいだ。
それを易々と飲み込み、さらには疲れを知らない山下の下半身は大河が起きても構わずにリズム良く跳ねている。
山下の中はとても熱く、強い締め付けと激しい抽送は大河を快楽の頂へと導いていく。
「お? 起きた?」
「なっ……何を⁉︎」
大河が起きたことに気付いた山下は、だがしかし上下に跳ねるのを止めてはくれない。
それどころか益々中を締め付け、動きをはげしくしていく。
バチュッグチュッと卑猥な音が絶え間なく響いて耳まで犯していくようだ。
大河は体中が沸騰するようだった。
山下は一体なぜこんな破廉恥なことをしているのか。
そもそも彼はゲイだったのか。
最初からそのつもりで大河を家に招いたのか。
頭は世界滅亡並みにパニックに陥っていた。
そして一番驚いているのは、心も体もこの状況に興奮している自分自身だ。
逆レイプされているというのに、山下の熱の籠もった視線と逞しくも艶めかしい肢体に煽られて体はどんどん昂っていく。
そんな状態に全く嫌悪感はなく、寧ろ山下の熱がもっと欲しい。
山下の中をぐちゃぐちゃに掻き回して、蕩けた顔を涙と涎で濡らしたい。
凶暴な欲が体の中で暴れ回るが、大河は警備員だ。
いくら山下が大河と競り合うくらい体格が良くても、戦闘術を身に付けている大河の方が体の使い方は熟知しているし、下手をすれば怪我をさせてしまう。
怪我をさせたり、彼の不本意なことをすればそれは即ち犯罪となり、そうなると苦労して取った警備員の資格を剥奪される。
大河に抵抗の選択肢は用意されていない。
もっとも、大河の両腕は電気の延長コードに縛られており、その先端はソファの足に括り付けられている。
物理的に手も足も出ないのだ。
唇を噛み締めて唸り声を上げる大河に、山下はにんまりと意地悪く笑った。
「大河さ。俺の好みの筋肉なのに、我慢できないからって筋肉痛めつけてんだろ? これはそのお仕置、き!」
バヂュッと一際大きく腰を落とされ、亀頭が山下の奥の壁にぶち当たる。
奥を突いているはずなのに、大河の猛りは指三本分入っていない。
山下はそのまま腰を前後に振り始めた。
大河の剛直が山下の媚肉に包まれてギュウギュウと締め付けられ、亀頭がゴリゴリと捏ねられる。
敏感な亀頭を容赦なく擦られるのは堪らなく気持ちいい!
「お仕置き⁉︎」
「あとな、単純に俺の好みなんだよ、大河。俺が施術中、どれだけ大河の馬鹿デカいちんぽしゃぶりたかったか……」
「は、あッ……⁉︎」
普段は丁寧で綺麗な言葉を紡ぐ山下が乱暴な口調で卑猥で下品な言葉を口にする。
それだけで大河の熱がまた一段と上昇し、山下の中に埋まっている愚息がググッと膨張した。
「ははっまだデカくなんのかよ。凄ぇな。服の上からでもデカかったけど勃ってるともっとデカいな」
舌なめずりをした山下がより一層腰を激しく振り始めた。
もう我慢できない……!
大河は欲望に任せて腰を振り始めた。
ソファのスプリングを使って腰を突き上げると、山下との結合部からニュチ……と水音が響く。
だが、上手く彼の奥を突けない。
山下の腰の動きと合わないのだ。
竿は擦られて気持ちいいのに、一番気持ちよくなる亀頭に刺激がない。
余計にもどかしくなり、大河は欲求不満の涙を滲ませた。
「大河ぁ……。気持ち良くて腰動いてるくせに足りねえんだよ。これじゃいつまで経ってもイケねえじゃねえか」
山下もタイミングの合わない動きに焦れたらしい。
舌打ちをすると大河の腕に巻き付いる延長コードを器用に外し、ポイッと乱暴に床に投げ捨てた。
「おら、もっと腰振れよ!」
大河の両手は山下に促されて彼の腰を掴んだ。
浮いた腰骨はゴツく、まさしく男のものだ。
大河の親指は腹筋にかかり、綺麗に浮き出ている線は逞しくもセクシーで視線が釘付けになる。
大河の手のひらに吸い付くようなしっとりとした肌は触り心地がいい。
山下の体を夢中で観察していると、焦れた山下はまた勝手に動き始めた。
大河は今度こそと意気込みながら、山下の動きに合わせて腰を突き上げた。
だが、やはり山下の動きについていけない。
どうしたらいいのかもわからず、ただ必死に腰を振っていると上から嘲笑が降ってきた。
「おいおい冗談きついぜ? こんな立派な筋肉ついてるってんのにお粗末すぎる」
「だって、初めてだし」
ぼそりと大河は反論した。
そう、セックスは今この瞬間が初めてなのだ。
厳つい顔とコミュ障のせいで彼女がいたことは一度もない。
どうせ一生彼女なんかできないと臍を曲げ、思い切ってデリヘルを呼んでみたが日本の風俗は基本的に本番はNGであることを教えられ、慰められながら手と口で奉仕してもらった。
ならばとマッチングアプリで、失礼ではあるが軽そうな女と会ってみた。
「あたし、巨根大好き」と華奢な腕が絡みついてきて期待したものの、勃起したペニスを披露したところ彼女は顔を引き攣らせた。
あまりの大きさにドン引きされ、仕方ないからと彼女はバイブを突っ込みながら大河のモノをたわわに実った胸で挟んで奉仕した。
彼女たちは謂わばその道のプロだ。
大河はただ何もせず、快楽を享受しただけである。
そんな経験値がほぼゼロの大河に、山下を満足させる技量など一ミリたりもとないのだ。
「へぇ……いいこと聞いた。俺が仕込んでやるよ」
山下はにたりと笑うと、グプッと卑猥な音を立てながら大河の昂りを自身の中から引き抜いた。
そして、床に落ちたクッションの上に仰向けで寝そべると、脚を開き両手で尻たぶを掴んで後孔をくぱぁ……と広げてみせた。
「ここに突っ込んでお前が気持ちいいように動け」
アナルは先程まで大河のペニスを咥え込んでいたこともありその淵がほんのりの赤い。
ぽかりと開いた口の中は綺麗なピンク色をしており、ヒクヒクと蠢いている。
呼吸に合わせて僅かに尻が動き、ローションに濡れた局部が明かりに照らされてヌラヌラと大河を誘った。
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