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第01話 愛とは呼べない
【1】
轟 金剛は幼い頃から驚くほど、他人への関心がなく感情表現の乏しい子供だった。
物心がついた時にはすでに目に見える世界は灰色で、色のある世界は祖父との暮らし、己を鍛え高める為の修行、彼を取り巻く極少数の人間、それだけである。
それ以外の他人は道端の石ころと同等で視界に入る事もない。
ゆえに彼は必要な人間以外の、他人の顔や名前を覚えられなかった。
母親は金剛が小学校に上がる前に病没し、父の剛天は自ら興した会社を軌道に乗せる為に一年のほとんどを全国から、果ては海外まで忙しく飛び回っていた為、必然的に祖父の鋼鉄が孫の面倒を見る事になったのも、結果的には彼の世界を狭めてしまったのかも知れないと後に鋼鉄は後悔したが、それは根本的な間違いだ。
轟 金剛の無関心は生まれつきのもので、例え鋼鉄がそれを知ったところでどうにか出来る問題ではなかったのだ。
金剛の内にある『その性質』に鋼鉄が気づいたのは、孫が小学生の時に起こった事件からであった。
轟家の男は元々、生き物が持つ本来の生命力の素質を色濃く持って生まれて来るらしく、体力や気力も強く体も丈夫で大きく育つ。
進化の過程で人間が捨ててしまったであろう、野生の本能といったものが他者より優れている。
金剛が小学二年に上がった頃、近所に住む同級生の女子と下校していた時に数人の上級生に絡まれた事があった。
最初は言葉でからかわれる程度が段々と小突かれ、終いには一緒にいた女子にまで手を上げようとしたので金剛の怒りが頂点に達した。
鋼鉄が連絡を受けて駆けつけた時、上級生達は金剛によって急所に反撃を食らい、蹲って泣き叫んでいた。
下校時で他に下校していた児童や、たまたま買い物途中に通りかかった近所の奥さんなどの目撃証言で金剛達が一方的にちょっかいを出された事、また上級生が数人がかりで下級生を苛めた挙げ句に返り討ちにあったのがさすがに体裁が悪かったのだろう、金剛はお咎めなしと相成った。
それにしても、と鋼鉄は眉を潜めた。
子供の力だから反撃された子は特に骨折などの重傷を負わされた訳ではない。ただ、教えた訳でもないのに金剛の拳は人間の急所を的確に突いていた。
これがもし、格闘技などの有段者であれば確実に人を再起不能にするか、最悪なら死に至らしめていたであろう。
まさに、動物の生命の危機に対する本能が働いた結果だ。
「アイツら、みさおちゃんを殴ろうとしたから」
鋼鉄に訊かれた時、叱られると思ったのか金剛は唇を尖らせて答えた。
「じいちゃん、いつも言ってるじゃん。女の子は弱いから守らなくちゃいけないって」
金剛の言う『みさおちゃん』は轟家から二軒隣に住む青山さん宅の一人娘で、青山 操という少女の事だ。
運動が得意で歌も上手、勉強もよく出来る上に人懐っこい可愛い性格の女の子。
算数が少し苦手な金剛によく宿題を教えてくれたりと、二人は生まれた時からの付き合いがある、いわゆる幼なじみという間柄であった。
そして、灰色の世界で生きる金剛の数少ない色の着いた人間でもあった。
常々、鋼鉄は孫に操ちゃんと仲良くしなさい、何か困っていたら助けてやりなさいと教えていた。
お前は男の子だから、女の子には優しくしてあげなさいとも。
金剛にしてみれば祖父の教えを忠実に守っただけで、何の咎めを受ける謂れはないと言わんばかりである。
いかん、と鋼鉄は思った。
このままでは孫は人間から外れてしまう。
金剛の行動は暴力を除けば正しい。
彼は幼なじみを守ろうと行動しただけだ。
常に弱い者の味方であれ、と教えたのは他ならぬ鋼鉄なのだ。
しかしまた同じような事が起こった時、金剛がもう少し成長して力が強くなった時、果たして次はただの子供のケンカで終わるだろうか。
金剛が言い付けを素直に聞くのは、祖父が己より遥かに強いからだ。
犬や狼の群れで強いリーダーに従う優劣順位と同じだからだ。
鋼鉄が思っているより、金剛は動物的な本能が強かった。
「金剛」
孫の目線に合わせて鋼鉄は屈み、ニカッと笑った。
「どうじゃ、じいちゃんと漢を磨く修行をしてみんか?」
「……しゅぎょう?」
金剛はきっと、強くなるだろう。
代々の轟家の男達がそうであったように。
その時に間違った力の使い方をしないように。
この子を人間に育てなければ。
その力は大切な人、愛する者を守る為に使うものだと教えなければ。
「しゅぎょうしたら、じいちゃんみたいに強くなれる?」
「もちろんじゃとも」
「する!」
きらきらと目を輝かせた孫は初めて、子供らしい表情を見せたのだった。
【2】
「轟 金剛くんって君?」
「そうだけど」
呼び止められて金剛は振り返った。
自分より少し年上の……見知らぬ女子高生に声をかけられて金剛は怪訝な顔をした。
中学三年になった彼は祖父の鋼鉄の元で鍛えていたせいもあった為か、成長期に入ってからの約一年足らずであっという間に身長が伸びて今では180センチある。
すでに体格も大人と変わらないくらいで、学生服を着ていなければとても中学生には見えない。
幼い感じは残るものの、中々に精悍な顔つきに成長しており、男前という言葉が似合う風体をしていた。
肩まで伸ばしたクセの強い髪を無造作に掻き上げ、金剛は何か用?と尋ねた。
「ふぅん、中三には見えないね」
じろじろと全身を上から下まで眺められて、居心地の悪さに金剛はふい、と顔を伏せる。
「用がねぇなら俺、帰るんだけど」
「待って。ねえ君、ちょっと付き合ってくれない?すぐ済むからさ」
その言葉と女子高生の品定めするような視線に金剛はまたか、と察し黙って後を着いて行った。
断れば面倒な事になると分かっていたからだ。
今日の修行は中止か……少しで済めばいいけどな……。
女子高生に連れられて金剛は、溜息と共にホテルへと入って行った。
金剛には祖父にも父親にも、幼なじみの操にも秘密にしている事がある。
金剛の初めてのセックスの相手は大人の女性だった。
今と同じように知らない女性に声をかけられ、訳の分からぬまま彼女の自宅に招かれ、何が何だか分からないままに性交を教えられた。
中学一年の時だ。
金剛は知らなかったが、祖父の鋼鉄は教育者としてちょっとした有名人で、父の剛天もまた経営する会社が世間でも知られ始めていた頃だ。
有名私立高校の理事長の孫、そこそこ大きな会社社長の息子である金剛はつまりのところ、御曹司という立ち位置にあった。
父の剛天は早くに妻を亡くしたにも関わらず再婚もせず、精力的に仕事をこなしており社長夫人の座を狙う女性は眼中にもない状態だったので、矛先は金剛に向けられた。
息子から懐柔して剛天に取り入ろうという腹積もりだったのだろう。
金剛に声をかけた女性もそんな一人だった。
彼女の誤算だったのは、幼い金剛の無自覚な男の色香だった。
こんなもんか。
ションベンするのと変わんねぇんだな。
コトを終えた金剛の感想はそれだけだった。
女のナカに突っ込んで、適当に動いて出したくなったら出す。
初めての相手は良い先生で、何も知らない金剛に避妊の方法もヤり方も丁寧に教えてくれた。
何が気持ちいいのか知らないが、女はそれで満足したらしく寝てしまった。
実際は失神していたのだが、金剛が知る由もない。
さっさと服を着て女の自宅を出た金剛は何となく、これは誰にも言ってはいけないのだと悟り口を閉ざした。
子供の頃から寡黙で表情も変わらない金剛の変化に、誰も気づかなかった。
ただ、金剛の日常にセックスが加わった。
学校に通い、放課後は修行して帰路に着く。
時々、女から声がかかる。
避妊しないと子供が出来る、病気を貰う可能性もあると最初の女に教わったのでそこだけは気をつけた。
金剛にとってセックスは食欲や睡眠と同じで、排泄と同等の意味合いしか持たなかった。
腹が減れば食う、眠くなったら寝る、性欲が高まればする。
それだけである。
特に金剛から何も言わなくても、セックスの相手は向こうからやって来た。
回数を重ね人数をこなしていく度、金剛の性技は上達していった。
多分、何も知らない男に教えるのが楽しかったのだろう。
彼女達は実に懇切丁寧に、女の気持ちいいところ、快楽を得る為の様々なプレイを教え、金剛は素直にそれを吸収していった。
不思議と、金剛と肉体関係を持った女同士が金剛を巡って争う事はなかった。
大人の女性の中には金品を渡そうとしてくる者もいたが、金剛が頑として突っぱね誰にも執着せず、彼女達にとっては気持ちいい事が出来る都合の良い棒であってくれたからだ。
彼にしてみれば体を重ねようが所詮、灰色の世界の住人なのでセックス以外の関わりなど一切必要なかったに過ぎない。
ただ女の方から執着を見せると金剛は嫌悪感を顕わにし、二度と関係を持とうとしなかった。
金剛と関係を持った彼女達の中で彼は完全な共有物として扱われ、高校生になる頃には女だけでなく男からも誘われるようになった。
性別が違ってもヤる事はあまり変わらなかったし、意外に男もイケたので金剛はどちらの誘いも断らなかった。
妊娠の可能性がない分、男の方が少しはラクでもあった。
ただ女と違い男の中には金剛を抱きたいという奴もいたから、それは容赦なく叩きのめして二度と近付けさせなかった。
そして、ゆっくりと金剛が歪み始めている事に祖父も父親も金剛自身も周りの誰も気づかなかった。
ただ一人、青山 操を除いて。
【3】
青山 操にとって轟 金剛という幼なじみはヒーローで、初恋の人だった。
小学生の時、数人の上級生に絡まれて殴られそうになった操を体を張って守ってくれたのが金剛だった。
自分達より大きい上級生に怯まず、返り討ちにしてみせた金剛はとてもカッコ良かったのだ。
「みさおちゃんは女の子だから、俺が守らなくちゃいけないんだ」
お礼を言った操に金剛はそう言ったのだが、それは祖父に言われた事をそのまま口にしたに過ぎないし、彼の灰色の世界の中で色鮮やかに飛び込んで来る子だからだ。
しかし、そうとは知らない操にとって金剛は特別な存在になった。生まれた時からのご近所で、幼稚園も小学校も同じ、他の男の子とは違い小学男子特有の意地悪をしない、優しい幼馴染み。
金剛くんとずっと一緒にいられたらいいのになあ。
漠然とした操の想いは年齢を重ねて恋へと変化していった。
彼に近付きたくて、いつも彼を見ていた。
よく見ていたから、金剛の変化に彼女は気づけた。
中学に上がってしばらくしてから、金剛が纏う雰囲気が変わった。他の同級生の男の子とは違う、かといって大人とも違う、表現の仕方が分からない嫌なそれ。
それを纏っている時の金剛は操の知っている彼ではなかった。
このままだと、金剛くんが金剛くんでなくなっちゃう。
操の中で急速に膨れ上がった不安と喪失感。
けれど子供の操にはどうしていいか分からなかった。
母親にこっそり相談してみたが『中学生になるとちょっと大人びて、変わる子もいるからねぇ』と言われただけで終わった。
『操も結構、大人っぽくなってきたわよ?』という見当違いの言葉までオマケで付いてきた。
違うの、そうじゃないの。そんなんじゃないの。
操の不安は誰にも理解して貰えなかった。
轟のお爺ちゃんに話してみようと考えたのは一度や二度ではない。ただ話したら最後、もう金剛に会えなくなる気がして出来なかった。
何も出来ないまま、幼なじみという関係のまま、そして歪んでいく金剛を止められないまま、二人は中学三年になっていた。
「金剛くん」
中学三年の三学期の半ば。
いつものように金剛と一緒に下校していた操は立ち止まって幼なじみを呼んだ。
「……どうした?」
金剛と操は共に私立轟高等学校へ入学が決まっていた。
轟高校は金剛の祖父・轟 鋼鉄が校長と理事長を努める学校で、全国でも知名度が高く毎年、入学希望者が募集定員を遥かに越える人気校である。
もちろん、校長の孫であっても金剛が何かしらの優遇措置が取られるワケではなく、きちんと一般入試を受けて金剛も合格していた。
金剛の勉強の面倒を見てくれた青山 操の貢献も大きい。
実際、操が受験勉強を手伝ってくれなかったら滑っていたかも知れない。
「何だ、腹でも減ったか」
「違うよ、もう」
的外れな問いかけをしてくる金剛に操は意を決した。
ずっとずっと気がかりで訊きたかった事を。
「……あのね、私、金剛くんにずっと訊きたかった事があったの。中学に入ってからずっと」
金剛くん、途中で何か変わったよね?
上手く言えないけれど、成長期とか、そんなんじゃなくて。
キーン……と、金剛の中で警告音が鳴り響いた。
それ以上を言わせてはならないと本能が告げた。
自分が不特定多数の女と肉体関係を持っている事を、操は気づいていたのだろうか?
しかし話ぶりだと、そうではないらしい。
操は金剛に色のある世界を教えてくれる、肉親以外での数少ない失ってはいけない少女だ。
操が他人でありながら金剛の中で他と区別されていたのは、まさにそこだった。
彼女が金剛に『女』を見せなかったからだ。
金剛に恋心を抱きながら、恋愛に奥手な操はその想いを告げられずにいた。幸か不幸か、それがかえって良かった。
もし彼女が『女』として、金剛を求めていたら……青山 操は金剛の世界から消える。
道端の石ころと同じ、灰色の世界に溶け込んで見えなくなってしまう。顔も覚えていない、体だけの関係の女達と同等になってしまう。
気持ちを告げたら、その先も求めてしまいたくなるのは人の自然な感情だ。
自分を見て欲しい。
触れて欲しい。
あなたを愛したい。
あなたに愛されたい。
好きだから、愛しているから、心も体も触れ合いたい。
本当なら、これらの過程を経て人は関係を結び、愛という感情を育てていく。操もまた、それを望んでいた。
金剛に想いを告げ、受け入れて貰えたら心を通わせて言葉を紡いで、想い合って、二人で優しい世界を生きて行きたかった。
けれど、金剛は違った。
そんな事を教わる前の子供に、女達は肉体の快楽だけを先に教えた。
彼女達は決して金剛を愛した訳ではなかった。
自分達に都合の良いセックス相手が欲しかっただけだ。
祖父が時に厳しく、時に慈愛を持って金剛を可愛がってくれるのは肉親の愛情だ。
操との関係もこれに近い。
友達を大切にする友愛も理解は出来る。
ただ、全くの他人同士がゼロから愛を育んでいくのとはワケが違う。
金剛は愛情を学んで理解する前に、体だけの気持ちいい事を覚えさせられ、彼の意思や都合は無視された。
他人に関心のなかった金剛はそれが異常な事だと、虐待なのだと分からなかった。
黙っていたのは、大人に知れたら面倒事になると無意識に分かっていたからだった。
金剛自身も知らぬまま、彼の心は身勝手な人間達に無惨に踏み躙られていたのだ。
操の言葉に彼の最後に残ったわずかな心が反応したのは、これを知ったら彼女が傷つくからだ。
もう、金剛を救う者はいなくなるからだ。
金剛にとって操は女ではなく、幼なじみのままでいて欲しかったからだ。歪んでしまった心は戻れない。
けれど、彼女まで歪めてしまう事は出来ない。
だから心が警告した。
「青山」
初めて、金剛は彼女を名字で呼んだ。
彼女に対する想いは愛とは呼べない。
でも、自分の側にいて欲しい人だ。
絶望の淵に立つ自分を引き留めてくれる人だ。
青山 操は灰色の世界で生きる金剛に手を伸ばしてくれる、大切な人に違いなかった。
だからこそ、彼女にその先を言わせてはならなかった。
「青山は、大事な幼なじみだと思ってる」
金剛は自ら線を引いた。
最後の心が砕け散る。
彼女だけは金剛に対して『女』になって欲しくない。
金剛の勝手な都合だと金剛自身、分かっていた。
自分を好き勝手にした人間達と同じだと分かっていた。
それでも、彼女を守る為に。
『操ちゃんは女の子じゃから、お前が守ってやるんだぞ』
祖父の言い付けを違える訳にはいかない。
聡い彼女は一瞬にして、金剛の言わんとしている事を理解した。
「……そっか、」
私も『轟くん』は大事な幼なじみだと思っているよ。
夕暮れの帰り道、並んで歩く二人の影は平行線のまま伸びていた。
【4】
青山の事は大事な幼なじみだと思ってる。
それが金剛のすべての答えだと悟った。
それ以上は言うな、と金剛は全身で語っていた。
その瞬間、彼はもう金剛くんではなくなった。
『みさおちゃんの色はキレイだね』
ずっとずっと幼い頃、金剛は操に不思議な事を言った。
よく分からなくてアレコレ聞いた結果、金剛が見ている物は自分と違う、とだけ操は理解した。
金剛の生きる灰色の世界が何なのか分からなかったけど、操は幼いなりに金剛に鮮やかな世界を見て欲しかった。
彼の隣で手を引いて、自分と同じ景色を見て欲しかった。
彼は確かに、少しずつ世界を広げていた筈なのに。
操がほんのちょっと、目を離してしまった隙に。
心ない人間に彼は壊されてしまった。
誰が。彼を。
こんなに歪めてしまったの。
青山、と呼んだ彼の目は虚ろで何も写していなかった。
彼の心はもう、とっくに死んでしまっていた。
真っ直ぐに生きて行くはずの少年は醜い欲望の餌食となり、心は食い荒らされ、でも微かに救いを求めていた。
幼なじみでいれば、彼の隣に立つ事は許される。
好きだと告げたら、もう金剛は自分を見てくれなくなるのが分かったから、操はこの恋を封印した。
今まで通り、幼なじみとして側にいる事を決めた。
泣いて叫んで縋りついてしまえたら良かった。
もう『金剛くん』とは呼べなくなってしまったけれど。
彼もまた『操』とは呼んでくれなくなってしまったけれど。
金剛を救える一人になろうと決めたから。
恋よりも、ずっと大切な事だから。
「帰ろうぜ」
「……うん」
二人並んで帰路に着く。
「轟くん、一つだけ訊いていい?」
「何だ」
「轟くんには、私はどう見えているの?」
「……ガキの頃と変わらねぇ、同じだ」
「そっか、良かった」
昔も今も同じ、操はキラキラと綺麗な色をしている。
彼はそう言ってくれた。
充分だと思った。
泣きそうになるのを必死でこらえて、操は祈った。
いつか、彼が救われますように。
私じゃなくても、誰かが彼を救ってくれますように。
壊れて散らばってしまった金剛の心を、一つ一つ拾い集めてあげたい。
でもそれは、私の役目じゃないかも知れない。
灰色の世界を覆うくらいの、眩しい輝きを持った人なら。
いつか、きっと。
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